【 小福 ・ 群ようこ 】 辞書には「小福」という言葉は出てこないが、興味深い。〈成功+ときどき大失敗=小さな幸福〉だ。〈成功=大きな幸福〉のみを目指す人生には挫折が伴う。そこを乗り越えるのが「小福」。群ようこ『小福ときどき災難』
だれの人生にも大小の災難がつきまとう。そうした災難からうまく身をかわせたときに得られるほっとした気持ちを小福(こふく)と呼ぶのだろう。軽妙な語り口の文体で多くのファンを持つ、作家で随筆家・群ようこ氏の最新エッセイ集からは〈成功+ときどき大失敗=小さな幸福〉が読み取れる。
――新型コロナウイルス流行のいま、今作のテーマ「小福」は見つかりましたか
「基本的にずっと家にいて仕事をしていますし、もともと外に出るのがあまり好きではないのです。人間の醜い部分に呆れていた分、散歩をしていてネコと出合ったり、メジロ、ヒヨドリ、スズメなど愛らしい鳥や動物たちに遭遇したりして、小福をもらっています」
――災難を避けて小福を得るための、日常の心構えがあるとしたら
「天災に関しては自分で最低限の準備をしておくしかないですね。人生には災難がつきものなので、落ち着いて対処をすればいいのではないでしょうか。私の場合は、困ったときには友人が助けてくれましたので、そういった人間関係を培っていることも大切だと思います。ふだんから日常の小さな楽しみを見つけられる人は、あまり悲観的にはならないような気がします」
――群さんにとって、幸せとは
「身の丈に合った家賃の部屋に住んで、家でも着物を着て、ほどほどに仕事をいただき、3カ月に一度くらい外食をして、ベランダに鳥が飛んできて、散歩の途中で出合ったネコと遊んで、ほどほどに健康だと最高ですね」
<出典>
人生に災難はつきもの 準備と人間関係が大切 作家・群ようこさん『小福ときどき災難』
【BOOK】産経新聞(2021/06/23)
https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210613/lin2106130004-n1.html
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