2016年8月17日(水)放映済み BS朝日「あらすじ名作劇場」
※ この放送では、二つの作品が紹介された。二つ目の浜田廣介作の児童文学『泣いた赤鬼』は、次回に取り上げる。
※ ゴーリキイ「どん底」のあらすじは、後ろの方で紹介する。
執筆当時のロシア社会の貧困層が描かれ、木賃宿を舞台に住人達の物語が展開される。本作には筋がなく、主人公もいない。実写主義が全体を貫いている。
人間というのは、いつも仮面をかぶって、本質を隠そうとする。貧困が極まると、仮面をかぶる余裕がなくなり、本質がむき出しになる。自ら貧困の中にいた経験がないと、その描写はできないだろう。トルストイはゴーリキイを「彼は生きた魂だ」と高く評価した。富裕層のトルストイには書けない戯曲だろう。
以下に「人間とは何か」に関する記述を抜き出す。
いつもそれ相当のねうちはもっているものなんだ …
どんな蚤だって、わるいもんじゃない
みんな黒くて、みんなはねる===== 引用 おわり
===== 引用 はじめ
善人なのか、悪人なのかどっちでもいいんだ、そんなことは
きょうは善人でも、あすは悪人になりさがるのが人間なんだから
===== 引用 おわり
===== 引用 はじめ
人間とはいってえなんだ?… それはお前でもねえ
おれでもねえ、奴等でもねえ、
… みんなちがう!
それは、お前も、おれも
やつらも、爺さんも、ナポレオンも、マホメットも、
みんな一緒にしたものだ!
人間は尊重しなくちゃならねえよ
憐れむべきものじゃねえ …
憐れんだりして、
安っぽくしちゃならねえ尊敬しなくちゃならねえんだ!
さあ、ひとつ人間のために
飲もうじゃねえか
なんだな -
自分を人間だと感じること、こいつはじつに
いいものじゃねえか!
===== 引用 おわり
ゴーリキイ「どん底」
===== あらすじ はじめ
コストゥイリョフの妻ワシリーサは、夫から自由になることを画策する。ワシリーサは情夫ペーペルが、彼女の実妹ナターシャに惚れていることに目をつける。ナターシャは姉夫婦の家に居候していて、虐待を受けていた。夫を殺害すれば、妹と結婚させ300ルーブリを提供しようと申し出る。ナターシャは結婚することで虐待から逃れられることができ、ペーペル自身もコストゥイリョフに2度も牢屋に送られた仕返しをでき、ワシリーサは夫と別れることができ、皆が幸福になるという。ペーペルはワシリーサの誘惑にのり、コストゥイリョフを殺害する。ところが、ワシリーサはペーペルが殺したと訴える。騙されたと知ったペーペルはワシリーサを道連れにしようとし、ワシリーサから計画を持ち込まれたことをしゃべる。そうしてナターシャは姉と自分の夫となる人が、共謀して義兄を殺害したことを悟り、ワシリーサ、ペーペル、そして自分を牢屋に入れてくれと訴える。
ペーペルとワシリーサは捕まり裁判にかけられ、ナターシャは病院から失踪してしまう。彼女たちの叔父のメドヴェージェフは警察を首になっていた。犯罪を犯さないものも、貧困という牢獄から抜け出すことを夢見ながらも、抜け出せない。誰一人幸福になることがなく、どん底にいる市民たちは、歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。
===== あらすじ おわり
Wikipedia 『どん底』
次回は、
怪盗ルパン「奇巌城」
【8月24日(水)22:00-23:00 放送】 BS朝日
BS朝日「あらすじ名作劇場」
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