画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2020年8月31日月曜日

(2078)  デフォー『ペストの記憶』(0) / 100分de名著



◆ 最新投稿情報
=====
(K1219)  コロナ危機の中で楽観的に生きる法 / なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクがたかいのか(6・最終回) <長寿>
=====


☆☆
1965年に実際にロンドンで発生したペストに関する見聞を記録。危機に立ち向かう個人の感情・思考だけでなく、危機における行政のあり方や、人間同士の関係のあり方についても、多角的な示唆を与えてくれる
☆☆

100de名著」 デフォー『ペストの記憶』が、97()から始まります。Eテレ。
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
講師は、武田将明(英文学者、東京大学准教授)


<全4回のシリーズ>  いずれも9
【はじめに】  パンデミックと記録文学

第1回  7日放送/ 9日再放送
  タイトル: パンデミックにどう向き合うか?

第2回  14日放送/ 16日再放送
  タイトル: 生命か、生計か? 究極の選択

第3回  21日放送/ 23日再放送
  タイトル: 管理会社 vs 市民の自由

第4回  28日放送/ 30日再放送
  タイトル: 記録すること、記憶すること


【はじめに】  パンデミックと記録文学
 いま私たちが『ペストの記憶』を読むに当たっては、当然ながら、2020年に世界を席巻した新型コロナウイルスとの関係に思いを馳せないわけにはいきません。しかし、せっかく読むのであれば、パンデミックという異常事態に置かれた人間の生々しい姿を『ペストの記憶』から取り出し、十七世紀のロンドンの人々のうちに人間の本質を読んでみたい。
 本講では、第1回で個人の内面、第2回で市民生活、第3回で市民と行政、第4回で危機を記録することの意義を考えることで、「ペストの記憶』の持つ多面性を解き明かしていきます。

<出典>
武田将明(2020/9)、デフォー『ペストの記憶』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



(2077)  コロナ禍で、子ども食堂は運営できないのか?



◆ 最新投稿情報
=====
(K1218)  「自分」という資産 / 人の価値(新現役編)(b2) <定年後>
=====


☆☆
コロナ禍で、子ども食堂は、運営できないのか? 運営できないとも言えるし、運営できるとも言える。――何かに行き詰った時、「そもそも私は何をしたいのか」と一つ掘り下げると、別の考えが出てくることがある
☆☆

 コロナ禍で、子ども食堂は、運営できないのか。運営できないとも言えるし、運営できるとも言える。――

 添付図「緊急事態宣言下でも46%がフードパントリー (食材・弁当配布)等を実施」によれば、
(1) 38.5%】「休止・延期」(38.5%)
(2) 10.0%】「通常通り開催」(3.9%)、「通常より開催を増やし」(2.2%)、「通常とは異なった開催」(3.9%)
こうと見ると、確かに開催は厳しい。しかし、別のところに注目すると、違った見え方がする。
(3) 46.3%】「お弁当の配布」(21.2%)、「食材等の配布」(22.1%)、「食材等を配布」(3.0%)

 広くとれば((2)(3))、【56.3%】、つまり過半数ができているということになる。ここで、(3)の発想は、どこから出てくるのか。

 「私たちは、何をしているのか」
  子ども食堂を運営する活動をしている
  食を通じて子どもたちとつながる活動をしている

 何かに行き詰った時、「そもそも私は何をしたいのか」と一つ掘り下げると、別の考えが出てくることがある。

<出典>
「第5回居場所サミット in 神戸」(8/30、認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸 主催)での、基調講演「ウィズコロナ時代に求められる居場所づくりー新しいつながりを考えるー」湯浅誠さん(社会活動家/NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長) 資料より



2020年8月29日土曜日

(2076)  100分de名著が、累計100冊になった



◆ 最新投稿情報
=====
(K1217) (万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(2) / 認知症の人の不可解な行動(32) <認知症>
=====

☆☆
100分で名著は、100作品を紹介した。私は、1冊目から全てのテキストを読んだ。原本を読もうとしたら、100冊のテキストも読めなかっただろう。100de名著が無かったら、全く知らないまま死ぬだろう
☆☆

ツァラトゥストラ , 論語 , マネジメント , 学問のすゝめ , 真理の言葉 , 君主論 , 幸福論 , 銀河鉄道の夜 , 徒然草 , 武士道

源氏物語 , 変身 , パンセ , 夜と霧 , かもめ , 方丈記 , 相対性理論 , 星の王子様 , 般若心経 , モンテ・クリスト伯

こころ , 老子 , 戦争と平和 , 饗宴 , 古事記 , おくのほそ道 , アラビアンナイト , 罪と罰 , 風姿花伝 , 愛するということ

孫氏 , 万葉集 , 旧約聖書 , 遠野物語 , ファーブル昆虫記 , アンネの日記 , 枕草子 , 菜根譚 , ハムレット , 茶の本

フランケンシュタイン , 最期のことば , 荘子 , オイディプス王 , 日本の面影 , 種の起源 , 斜陽 , 実存主義とは何か , 良寛詩歌集 , 代表的日本人

人生の意味の心理学 , 司馬遼太郎スペシャル , 歎異抄 , 五輪書 , エミール , 堕落論 , 永遠平和のために , 苦海浄土 , 正法眼蔵 , 野生の思考

中原中也詩集 , 獄中からの手紙 , 宮沢賢治スペシャル , 人生論ノート , 三国志 , 維摩経 , 高慢と偏見 , 野火 , 全体主義の起原 , 幸福論

ソラリス , 南洲翁遺訓 , ノートル=ダム・ド・パリ , 松本清張スペシャル , 法華経 , 生きがいについて , ペスト , 河合隼雄スペシャル , for ティーンズ , 薔薇の名前

赤毛のアン , エチカ , 風と共に去りぬ , 大衆の反逆 , 夏目漱石スペシャル , 自省録 , 平家物語 , アルプスの少女ハイジ , 小松左京スペシャル , 戦争論

燃えあがる緑の木 , 善の研究 , カラマーゾフの兄弟 , 貞観政要 , 力なき者たちの力 , アーサー・C・クラーク スペシャル , ピノッキオの冒険 , 純粋理性批判 , 共同幻想論 , モモ


<出典>






(2075)  人の価値(現役編)(a)



◆ 最新投稿情報
=====
(K1216)  人の価値(新現役編)(b1) <定年後>
=====
 この投稿は、上記のブログ「組織ブログ」と対になっています。もう一つには、「新現役編」と書いてあるが、現役を終わっても(仕事をリタイアしても)、引退はしていない(有償の仕事とは限らない)という意味です。


☆☆
「人の価値も、企業価値と同様の公式で評価できる」と野口氏。「利益を生み出す力」は、企業価値を算出する公式だ。それを使うことで、人の価値(金額)も算定できる。ここで、利益とは何か、ということが大切だ
☆☆


 「人の価値も、企業価値と同様の公式で評価できる」。野口氏はそれら(企業価値)を算出する公式に使う「利益を生み出す力」を使うことで、人の価値(金額)も算定できるという。

 ここで、利益とは何か、ということが大切で、三つの言い方をしています。
 
(1)  象徴的なのは営業部門だが、野口氏は「目先のノルマを達成するために強引な営業をするのではなく、中・長期的な視点でクライアントと信頼関係を築く方が真の利益になる」と語る。
(2)  また、総務やシステムといった直接利益を生み出さない部門でも「『どうすれば業務を効率化できるか』を考え続けることが重要で、それがコスト削減を通じて会社の利益につながり、自分の成長にもなる」という。
(3)  野口氏は、人事や上司の目を気にすることなく、「自分の持ち場で『何をすれば組織の価値を高められるか』に集中して仕事をすることが重要だ」と強調する。

 企業における人の価値を「組織の価値を真に高める」で評価しようとしています。ここでは、人の価値と企業の価値は矛盾せず、同じ公式で評価できることになります。そして、短期利益だけでなく、「組織の価値を真に高める」という評価ができる企業の価値は高いことになります。
 さらに、この考え方で企業において活躍できた人は、引退後も活躍できる、言い換えれれば、このように評価する「人の価値」は、在職中も引退後も、本質は変わらないことになります。

<出典>
真の実力つけ有意義な人生を 企業価値評価の専門家提言
【100歳時代プロジェクト】 産経新聞(2020/08/28)



2020年8月28日金曜日

(2074) 【来月予告】デフォー『ペストの記憶』。【投稿リスト】ミヒャエル・テンデ『モモ』 / 100分de名著



◆ 最新投稿情報
=====
(K1215) (万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(1) / 認知症の人の不可解な行動(31) <認知症>
=====


【来月予告】 デフォー『ペストの記憶』 / 100de名著

20209月号 (100de名著)    テキストは、825日発売(NHK出版)
デフォー『ペストの記憶』。講師:武田将明(東京大学大学院准教授)


見えざる恐怖に立ち向かう

 17世紀ロンドンに起きたベストの大流行は、市民の暮らしと社会を一変させた。家屋閉鎖で機能停止する経済、人々の間に飛び交うデマ情報、富める者と貧しい者に生まれた格差…。
『ロビンソン・クルーソー』で知られるデフォーが膨大な記録をもとに遺した記録文学を、コロナ禍の現代に読みなおす。


【投稿リスト】 ミヒャエル・テンデ『モモ』
公式解説は、


私が書いたのは、

(2043)  ミヒャエル・エンデ『モモ』(0) / 100de名著

(2046)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(1-1) / 100de名著

(2048)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(1-2) / 100de名著

(2053)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(2-1) / 100de名著

(2055)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(2-2) / 100de名著

(2060)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(3-1) / 100de名著

(2062)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(3-2) / 100de名著

(2065)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(4-1) / 100de名著

(2067)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(4-2) / 100de名著


<出典>
河合俊雄(2020/8)、ミヒャエル・テンデ『モモ』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



2020年8月27日木曜日

(2073)  韓国から「学ぶ」べきこと



◆ 最新投稿情報
=====
(K1214) 緩和ケアと安楽死との関係 / 苦悩する人々に我々ができること(3) <ホスピス>
=====


☆☆
韓国の振る舞いから、日本は「学ぶ」べきことが多くある。もちろん「良いことだから真似をする」という、学び方ではない。そういう意味で日本は「学び方」が全然足りない。韓国が何をするか、それは何を意味するか
☆☆

 韓国の動きは、腹立たしいことばかりです。「慰安婦問題」「徴用工問題」、いずれも、私の見解では、そもそも「問題」とすべきものではないことを、取り上げている。反省すべきことがあれば反省するのは必要なことだが、韓国のしていることは、そのようなレベルではありません。
 つい最近では、日本製産業用バルブにかけていた反ダンピング(不当廉売)課税問題。それ自体ケシカランことだと思うが、韓国がWTOで敗訴してからの対応がひどい。言語道断だと思うが、日本の政府はさして抗議しないし、野党はまったく取り上げようともしない。日本の国益に無関心な政治家ばかりで、日本はどうなっていくのだろうか。
例えば、韓国、産業用バルブ課税を撤廃 日本「是正勧告の誠実な履行といえず、遺憾」

 それは、さておき、新聞の見出しをみて、驚きました。

 「文政権、強まる中国傾斜」(添付)。えっ??? THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備問題で、あれだけコテンパンに苛め抜かれ、屈辱を味わった韓国が何故、「中国傾斜」するのでしょか???
例えば、「中国に「降伏文書」を差し出した韓国」

 私が思うには、韓国は歴史的にずっと中国に苛め抜かれ、反抗するとさらにひどい「懲罰」を受けるという「現実」を、心底から受け入れてしまっている。だから、中国からどんな仕打ちをうけても黙って受け入れ、それだけでなく「中国傾斜」までします。

 対して、日本は、口では厳しそうなことを言いながら、優しいものです。「優しい日本だから日本に傾斜する」ということは全くなく、安心して、ダダをこね、傍若無人に振る舞っています。「周辺国からの理解が重要になってくると思われますが…十分に理解を得る状況ではないように思われます」と質問をする新聞記者がいる日本。そんなことをしていては、日韓関係はますます悪くなっていきます。韓国に「日本傾斜」させる方法は、中国から学ばねばなりません。

 「人の嫌がることを言ってはいけません」というのは、日本の美徳だろうが、それが通じないのが世界。ソ連も中国も北朝鮮も韓国もそしてアメリカも、日本に対して「人の嫌がることを言ってはいけません」なんて対応は、全くしていません。

 韓国の振る舞いから、日本は「学ぶ」べきことが多くあります。もちろん「良いことだから真似をする」という、学び方ではありません。中国に媚びを売りましょうではなく、その逆です。中国はとても賢く良く考えているので、中国の言うことに耳を傾け、その逆をすれば日本の国益を守れます。そういう意味で、日本は「学び方」が全然足りないと思います。
 野党も、ちゃんと学んで自民党に正論を物申せば、支持も増えると思うのですが、そのようなそぶりもありません。数合わせの算数に、今は必死のようです。


<出典>
文政権、強まる中国傾斜
産経新聞(2020/08/23)




2020年8月26日水曜日

(2072)  「触れなくても押せる」感染対策で開発



◆ 最新投稿情報
=====
(K1213)  認知症になりやすい性格 / なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクがたかいのか(5) <長寿>
=====


☆☆
安心感をもてるが、その道具を介して、接触感染することはないのだろうか? 都度、消毒すればよいが、それなら指で押して、都度、消毒すればよい。少し気になった。韓国では爪楊枝で押していたが、あれは使い捨てだ
☆☆

 新型コロナウイルス感染への不安が広がるなか、尼崎市の鉄工所が、手で触らずにボタンを押したり手すりにつかまれたりする商品を開発した。子どもも楽しく使えるかわいい動物のデザイン。外出中にどこかに触るのが心配という人に使ってもらいたいという。

 週に1度の買い物や通院で出かける際、小学1年の長男がエレベーターのボタンを押したがるなど色々なところを手で触るのが気になり、感染への不安から時には声を荒らげてしまうことがあったという。「触ってはだめ、ではなく遊び心を持ったもので不安を解消できないか」。

 猫をかたどった「触れないニャン」と、猿の形の「代わりにやるモン」の2種類。しっぽの部分がフックのようになっており、エレベーターのボタンを押す、引き戸を引っ張る、つり革を持つ、ATMを操作するといった動作が、直接触ることなくできるようになる。電気を通す「導電スポンジ」をつけたことで、タッチパネルも傷つけることなく操作できるようになっている。

 それぞれ税別1300円で、同社ホームページ(http://hibanas.jp/)で販売している。問い合わせは同社(0664982318)。


<出典>
「触れなくても押せる」感染対策で開発




2020年8月24日月曜日

(2071)  新聞記事の作られ方



◆ 最新投稿情報
=====
(K1212) 生きる意味や希望を見いだすことが困難 / 苦悩する人々に我々ができること(2) <ホスピス>
=====


☆☆
自分の考えと全く反対のことをインタビュー記事にされた、という嘆きをよく聞きます。何故どのようにそのような記事がでっち上げられていくか、どのように言論の自由が破壊されているか。具体例を挙げて検証します
☆☆



===== 引用はじめ
 75回目の「終戦の日」となる15日を前に、太平洋戦争の犠牲者を悼む「兵庫県戦没者追悼式」が4日、神戸市中央区の県公館であった。
===== 引用おわり
(一つ目の添付)

 追悼式終了後、三木英一(県遺族会姫路支部長)氏がインタビューを受け、記事になった顛末をご本人から伺いました。神戸新聞(2020/08/16)に掲載された文から紐解いていきます。
(二つ目の添付)

 結論部分は、次のようになっています。
===== 引用はじめ
 いまネットなどの一部で、戦争を美化するような論調、風潮があることを危惧する。「若い世代には歴史をきちんと知ってほしい」
===== 引用おわり
 三木氏(インタビューを受けたご本人)によれば、「いまネットなどの一部で、戦争を美化するような論調、風潮があることを危惧する。」とは、言ってはいないし、そのようなことは考えたこともないとのことです。
 本人が考えても、言ってもいないことが、インタビュー記事の結論となっています。これでは「インタビュー記事」ではないでしょう。何故、こんなことが許されるのでしょうか。唖然とします。

 「若い人達に、なぜ戦わざるをえなかったのか、近現代史をしっかり学んでほしい。自分の国は自分で護るという気概をもってもらいたい」と三木氏は言ったそうです。つまり「若い世代には歴史をきちんと知ってほしい」は正しいが、その理由は、全く逆のことを言っています。これはインタビュアーの技量の問題ではなく、勝手な決めつけです。言論の自由を守るのとは真逆のことをしています。言論をゆがめて伝えるのが、神戸新聞社の使命と考えているのでしょうか。

 三木氏が伝えたかったのは、次の2点だったそうです。
(1)  日本国民が祖国のために尊い生命を捧げられたご英霊への感謝をもつこと
(2)  自分の国は自分で護るという気概をもってもらいたい

 ところが、結論へ至るまでの記事に、ひとかけらも出ていません。これも、インタビュアーの技量の問題ではありません。おそらく記者は、インタビューを聞いて、自分の主義主張に反するので、全てを抹殺したのでしょう。これでは「記者」とは言えない。していることはプロパガンダ(特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為)です。何故その人が記者を名乗っているのでしょうか。新聞社は、なぜその人を記者として採用しているのでしょうか。

 では、結論へ至るまでの記事に何が書いているでしょうか。読んでみると、一目瞭然にわかります。記者の主張したい「いまネットなどの一部で、戦争を美化するような論調、風潮があることを危惧する」を正当化するために、発言を切り刻み、モザイクのように組み立てているのです。つまりインタビュイー(取材を受ける側)の文脈を徹底的に破壊し、その断片を集めて、インタビュアー(インタビューをする人)のために文脈を再構築し、記事にしているのです。

 因みに「いまネットなどの一部で、戦争を美化するような論調、風潮があることを危惧する」を「記者の主張したい」と述べたが、インタビュイーの意図と全く反することなので、そう決めつけるしかありません。つまり、インタビュイーの名を借りて、その意図を踏みにじり、あたかもインタビュイーが言ったかのように偽装し、記者自身の主張を述べているだけの記事です。これは、インタビュー記事では、ありません。

 ここでは、インタビュイーの主義主張とインタビュアーの主義主張のどちらが正しいかを論じているのではありません。言論の自由を、新聞社と新聞記者が自ら葬り去ろうとしている。私は、それを嘆いているのです。

<出典>
神戸新聞(2020/08/16)
「父は病死、貧しさに泣いた」




(2070)  一般の常識から遊離した新聞記者たちの“感覚”



◆ 最新投稿情報
=====
(K1211)  ホスピスや緩和ケアとは、全く無縁な殺人事件 / 苦悩する人々に我々ができること(1) <ホスピス>
=====


☆☆
一般の常識から遊離した新聞記者たちの“感覚”が国民を驚かせている。反政府運動の機関紙と見紛(みまご)う新聞。このネット時代にそんな新聞の部数が激減するのは当然だろう。そこまで国民は愚かでない
☆☆

 正確を期すため、紙面から引用します。
===== 引用はじめ
 今度は広島で朝日記者がひと悶着(もんちゃく)。原爆の日の式典に参加した安倍晋三首相は、10時23分に会見に臨んだ。50キロ以上離れた広島空港から11時50分発の帰京便に乗る予定で、報道室はあらかじめ内閣記者会と地元メディアに2問ずつ計4つの質問に答えると通告していた。
 しかし4問目が終わって朝日記者が5つ目の質問。首相がそれに答えた後、さらに質問を重ねようとしたので、会見の終了が宣言され、首相は退席。ちなみに便は7分遅れで広島空港を離陸し、東京に向かった。
 問題は日頃、是々非々ではなくひたすら反安倍記事を掲げる朝日の行動だ。翌日、〈官邸職員が腕つかみ 朝日新聞社記者の質問制止 官邸報道室に抗議〉(朝日7日付)。そんな記事を掲げて猛批判に出たのだ。
 事前の決まり事(ごと)も守らず、首相が“ルール外”の5問目に答えても、さらに質問を重ねようとした行為への反省などまるでない。官邸の報道室は「移動時間が迫っていた中での出来事。速やかな移動を促すべく当室職員が注意喚起を行ったが、腕をつかんではいない」と大人の対応。まさに居直り強盗ともいうべき態度を示した朝日は、きっと批判するための材料だけが欲しかったのだろう。
===== 引用おわり

 この記事を読む限り、朝日新聞が一方的に悪い。たとえ、腕をつかんだとしても、やむを得ない状況のように私には思えます。ルール違反をし、移動を阻止しようとしたのだから。移動を阻止しようとしない限り、腕をつかむとは考えられません。

 だが、物事は、多面から見なければなりません。朝日新聞は、どのような見解なのでしょうか。探してみたが、8月6~7日に一方的に批判する記事を書いたまま、沈黙を守っています(私が検索した限り)。「都合が悪くなると黙る」とみられても、しかたがないでしょう。反論が出てきたら、再び考えてみます。

<出典>
【新聞に喝!】“活動家記者”に明日はあるか 作家・ジャーナリスト・門田隆将
産経新聞(2020/08/16)



2020年8月22日土曜日

(2069)  朝の詩_(31)優しさ・(32)どっしりと



      最新投稿情報
=====
(K1210)  動きの衰え・その不安 <体の健康>
=====
 
 
☆☆
うまくいかなくて、どうしようもなくなったとき、どのように抜け出したか。優しさは強さ、(世間の目じゃなくて)自分の目で見ること、(やるべき事はやった)どっしりと。それぞれ自分の体験から出た詩(ウタ)
☆☆
 
(A) 優しさ
(B) どっしりと
 
 
朝の詩
===== 引用(A) はじめ
 優しさ
  相模原市中央区
  笹垣 悦子 84
 
大阪で傷心を隠して
うつむいていた中年の
私に讃岐生まれの
夫は言った
世間がなんぼのものや
世間の目じゃなくて
自分の目で見ることや
世間は俺らを
食わしてくれへんで
優しさは強さであると
私は夫から教えられた
あれから二十七年
年上女房は大切にされ
楽しい毎日を過ごす
 
(選者 八木幹夫)
===== 引用(A) おわり
産経新聞 (2020/06/05)
 
 
朝の詩
===== 引用(B) はじめ
 どっしりと
  埼玉県ふじみ野市
  坂見 真弓 52
 
これ以上考えても
どうしようもない事が
私の心を
右に左に激しく転がす
体がゆがんでしまう程
 
やるべき事はやった
塩はふった
あとは
どっしりと
漬物石に乗っかられ
邪念な水分を押し出し
おいしい
漬物心になりたい
 
(選者 八木幹夫)
===== 引用(B) おわり
産経新聞 (2020/07/27)
 
<添付>
「“人の目を気にする”の人の目は誰の目か。 」のお話。



(2068)  石原裕次郎と映画・歌・テレビドラマ - スターのイメージを変えた大スター / あの頃日本人は輝いていた(13)



◆ 最新投稿情報
=====
(K1209)  個人Blog 8月中旬リスト <サイト紹介>
=====
 
 
☆☆
長嶋が学生時代から注目され、美空ひばりが天才少女歌手として早くからスターへの途が用意されていた。裕次郎が大スターになったのは偶然のきっかけだった。なりたくてなったのでも、期待されてなったのでもない
☆☆
 
 
(1)  百年に一度の大スター
(2)  映画スター裕次郎
(3)  裕次郎の反抗
(4)  映画からテレビの世界へ
(5)  石原裕次郎の遺産

<展開>
 
(1)  百年に一度の大スター
 長嶋茂雄、石原裕次郎、美空ひばり、この3人は100年か200年に一人しかでないスターだ。
 水の江多滝子(ターキー)は「太陽の季節」で石原裕次郎を抜擢したかったが、反対され、アルバイトで参加させた。だが、スタンドインを務めた裕次郎を、カメラを通してのぞいていたベテランカメラマンはいった。「ファインダーの向こうに阪妻がいる。」ターキーはただちに、シナリオにボクシング部の学生役を付け加え、端役で登場されることにした。これをアップにして棒焼きにし、幹部に見せ、本格的デビューにつなげることに成功したのだ。こうして兄慎太郎の脚本、裕次郎主演の「狂った果実」が制作されることになった。

(2)  映画スター裕次郎
 映画俳優としての裕次郎を目覚めさせてくれたのは、名匠田坂具隆であった。石坂洋次郎原作の「乳母車」を映画化するに当たり、ヒロインの父の愛人の弟という複雑な家庭環境で育ちながら、明るさや素直さを失わない青年の役を上手く引き出し、文芸作品に仕上げたのだった。その後も「日のあたる坂道」の映画化など秀作を生むことになった。
 だが、なんといっても裕次郎を国民的スターに押し上げたのは「嵐を呼ぶ男」(昭和32)であった。観客動員は594万人、配給収入は34880万円を記録、この映画の大ヒットによって赤字だった日活は一気に黒字に転じた。この年、映画主題歌「俺は待ってるぜ」は160万枚を売り上げ、テイチクレコードにとってもドル箱の歌手となった。「裕次郎ブーム」が到来した。

(3)  裕次郎の反抗
 長身で長い脚、ちょっとグレていて喧嘩には強いが根は純情でカッコいい快男児のイメージが定着し、日活は裕次郎の作品をこの路線で作りつづけた。連日の撮影やレコーディングで、心身ともに疲れ果てていた裕次郎は、北原三枝とアメリカへ逃避行し、結婚を認めさせた。幸い、結婚しても裕次郎人気は落ちなかった。北原三枝に代わって浅丘ルリ子、芦川いずみとコンビを組んだ。
 しかし、スキーで骨折し、全治8カ月の重傷を負った。入院中にじっくり考え「自分で映画を作れないか」との気持ちが強くなっていく。そして旗揚げしたのが石原プロモーションであった。「太平洋ひとりぼっち」がヒットし、三船プロとの合作「黒部の太陽」を企画した。「五社の映画館では絶対に上映させない」と圧力がかかったが「フィルムは、映画館じゃなくても上映できるんだろう?」と応援されて、クランクイン。空前のスケールと迫力で公開されると観客動員数は7337000人を記録した。
 本格的カーレース「栄光への500キロ」(昭和44年公開)はヒットしたが、「ある兵士の賭け」では58000万円もの負債を抱える羽目になった。

(4)  映画からテレビの世界へ
 石原プロがテレビに進出したのは、映画の斜陽に加え、膨らむ一方のテレビの持つ可能性に挑戦する意図があった。裕次郎が出演した刑事ドラマ「太陽にほえろ!」は、なんと全817話、10年も付き合うことになった。
 「太陽にほえろ!」が大好評だったため、次の刑事ドラマ「大都会」、「西部警察」は石原プ口が制作することになった。

(5)  石原裕次郎の遺産
 映画館を出るとすっかりその気分になり、自分の短足も忘れて裕次郎ばりの右足をちょっと引きずりながら「俺は待ってるぜ」を口ずさんだ世代、裕次郎気分で「銀座の恋の物語」をスナックのおねえちゃんとデュエットしたおっさん、わが身を北原三枝や浅丘ルリ子に置き換えて裕次郎と映画館で恋をしたオバちゃん、「太陽にほえろ!」のボスを思い出す五十代のひとびと…裕次郎を待っているファンはまだ全国にいる。

石原裕次郎(1934 - 1987)
 兵庫県生まれ。慶應義塾大学在学中に芥川賞作家の兄石原慎太郎の小説を映画化した「太陽の季節」でデビュー。「狂った果実」「嵐を呼ぶ男」などで大スターとなる。余技で歌った映画の主題歌、挿入歌が「俺は待ってるぜ」「銀座の恋の物語」をはじめ多くのヒット曲を生んだ。「太陽にほえろ!」・「西部警察」などのテレビドラマでも人気を博した。

<出典>
池井優、『あの頃日本人は輝いていた』(芙蓉書房出版)
 
写真は、



2020年8月21日金曜日

(2067)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(4-2) / 100分de名著



◆ 最新投稿情報
=====
(K1208) (排泄の混乱)トイレはどこ? どうしたらいい?(2) / 認知症の人の不可解な行動(30) <認知症>
=====

☆☆
「慌ただしい大人にこそファンタジーを読んでほしいと願っています。自分が生きている・現実とは全く違うリアリティに触れることができますし、子どもとは異なる読後感を感じるでしょう」その意味は、大きい。
☆☆

第4回  24日放送/ 26日再放送
  タイトル: 「受動」から「能動」へ

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25

【テキストの項目】
(1)   眠りを経て訪れる転機
(2)   立ち上がる主体
(3)  「みずから」と「おのずから」の結節点
(4)   ホラを再訪する

(5)   ラジカルなイニシエーション
(6)   灰色の男たちの最期
(7)   毒は自滅する
(8)   あとがきの意味を考える
(9)   大人がファンタジーを読むことの意味

【展開】
(1)   眠りを経て訪れる転機
(2)   立ち上がる主体
(3)  「みずから」と「おのずから」の結節点
(4)   ホラを再訪する
 以上は、既に書きました。

(5)   ラジカルなイニシエーション
 灰色の男たちに包囲されたこの状況をどう打開し、いかにして人々を最悪の事態から救うか。 ホラは最後の手段を思いつきますが、それを実行するには「わたしひとりではむりだ」といいます。
 その方法とは次のようなものでした。まずホラが眠りにつき、時間を完全に止める。すると灰色の男たちは誰からも時間が盗めなくなるため、時間の貯蔵庫に向かうはずだ。そこでモモがあとをつけ、彼らの邪魔をして時間を取り出せないようにする。時間の補給が切れた灰色の男たちが消滅したら、貯蔵庫にある時間を解放して、盗まれた時間を人間の元に戻せばいい。すると時間は再び動き出し、ホラも眠りから目覚めるだろう――。

 時間の源にいるホラが眠り、少女であるモモが主体的に努力するという作戦は、通常考えられる役割分担からはまったく逆でしょう。時間を止めて灰色の男たちを消滅させるのは、本来はホラがすべき仕事のはずです。
 この転倒は、ラジカルなイニシエーションとして解釈できます。イニシエ―ションとは人類学用語で、若者が成人として社会に承認される手続きや儀式のことです。

(6)   灰色の男たちの最期
 ホラとモモの計画が実行されました。モモは、凍った時間の花がしまってある金庫扉を閉めることに成功し、灰色の男たちは皆、消えてゆきました。
 モモは再び時間の花で金庫扉に触れました。すると扉が開き、閉じ込められていた時間の花たちは自由になって、元の持ち主のところに帰っていきます。世界は再び、動き出しました。

(7)   毒は自滅する
 毒というものは、大部分が自分からなくなっていきます。毒は寄生するものを必要とするのです。まさにウイルスと同じです。寄生できる身体、あるいは心の働きがあるからこそ、それらは生まれ、生き延びるのです。
 灰色の男たちという存在も、結局は人間自身が生み出した毒でした。今という時間に満足できない、少しでも早く仕事を進めなければならない、時間は節約しなければならない――    そう思っているからこそ灰色の男たちは生まれてくるのであって、その考えをやめると、彼らは自然といなくなるのです。

(8)   あとがきの意味を考える
 「作者のみじかいあとがき」が最後に付されています。ここでエンデは、この物語は自分が旅の途中に汽車で偶然出会った「きみょうな乗客」から聞いたものだと述べています。その人は最後にこんな言葉を残したと記しています。
 「わたしはいまの話を、」(中略)「過去に起こったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大したちがいはありません。

(9)   大人がファンタジーを読むことの意味
 私は、慌ただしい大人にこそファンタジーを読んでほしいと願っています。自分が生きている・現実とは全く違うリアリティに触れることができますし、子どもとは異なる読後感を感じるでしょう。その印象を吟味することによって、世界へのより深い洞察や、新しい生き方を感じ取ることができるはずです。大人がファンタジーを読む意味は大きいと思います。
 現代は灰色の男たちの論理に非常に近いところで動いている時代だと思います。それを避けることは難しいですが、われわれのこころの根底にあるいのちと時間の根源に触れて、もう一度われわれや世界が生まれ直すことは大事です。『モモ』 という物語は、その一つのモデルを示してくれています。


<出典>
河合俊雄(2020/8)、ミヒャエル・テンデ『モモ』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)