ソ連の3人の小説家とその作品を一連のものとして紹介する番組だった。
フョードル・ドストエフスキー(1821/11/11 – 1881/2/9)
「カラマーゾフの兄弟」 … (493) で紹介済み
「罪と罰」 … 今回紹介
レフ・トルストイ(1828/9/9 – 1910/11/20)
「イワンのばか」 … (490) で紹介済み
アントン・チェーホフ(1860/1/17 – 1904/7/2)
「犬を連れた奥さん」 … 今回紹介
以下、『アントン・チェーホフ』(wikipedia)を参照しながら、まとめる。
3人は、同時代を生き、チェーホフが一番若い。ドストエフスキーとトルストイが長編を書いていたのに対し、「当時ロシアの文壇では長編こそが小説であるという風潮が強く、チェーホフのように第一線で短編小説を絶えず発表した書き手はいなかった」。
モーパッサン(「女の一生」を(551)で紹介済み)との比較においては、「モーパッサンが出来事に焦点を当てたのに対し、チェーホフは人物に目を注いだといえるかもしれない」
「典型的なチェーホフの物語は外的な筋をほとんど持たない。その中心は登場人物たちの内面にあり、 … しばしば語られることではあるが、チェーホフの小説や劇においては何も起こらない」
次回は、
2時間スペシャル
没後100年 日本人として知っておきたい 夏目漱石10のスゴいところ
【7月27日(水)21:00-23:00 放送】 BS朝日
(野球放送の延長などで、放映開始時刻が遅くなることがある)
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「犬を連れた奥さん」(アントン・チェーホフ)
===== あらすじ はじめ
ドミトリー・ドミトリッチ・グーロフはヤルタに滞在して2週間になり、他の者たちと同様にこの保養地に滞在する人たちに好奇心を抱く。そしてその噂の中に、素性の分からないポメラニアンを連れた美しい女性がおり、興味を覚える。ドミトリーは彼女がもしも結婚していて夫がまだ到着していないならば、お近づきになるチャンスだと考えたのである。以降ドミトリーは何度も彼女を見かけるようになる。
ドミトリーは40歳ほどで既婚者であるが、妻は子供達を生み年よりも老けて見えた。また女好きであり、不思議と女性にもてた。
ある日のこと、レストランで偶然件の女性の隣に座ったことで面識を得る。彼女は上流階級の女性で単身ヤルタに滞在しており、後に夫が合流する予定だという。当初は知り合い程度であったが、ある日ついに肉体関係を結び、以降2人は逢瀬を重ねることとなる。2人は次第に堂々と刺激を求めて野外でキスをするようになる。しかし実のところドミトリーは彼女アンナ・セルゲーヴナ・フォン・ディーダーリッツを愛していたわけではなかった。彼はアンナの美しさに惹かれ、会話を楽しみながらも、次第に愛情が冷めていく。アンナは「自分の夫はおべっか使いで、自分は幸せでない」と告白するものの、ドミトリーは彼女を尊重せず、2人は次第に彼女の夫の到着、そして逢瀬の終わりを望むようになる。そこへ彼女の夫から手紙が届く。彼がヤルタへ行くことが出来なくなり、逆にアンナに帰ってきてほしいという内容であった。アンナは汽車でサンクトペテルブルクへと帰京することになり、駅まで送りに来たドミトリーに「二度と会わないでしょうけど、お幸せに」と言い残し去っていった。ドミトリーもアンナが去った後に空虚な思いに駆られ、モスクワの自宅へと戻る。
初冬に差し掛かるという季節にモスクワへと帰京すると、退屈な日々の中で、早くもドミトリーはアンナの幻影に襲われることとなる。実のところ彼女のことが思い出されて堪らず、ついには医者の戸を叩くほどであった。ドミトリーはアンナへの想いを止めることが出来ず、サンクトペテルブルク行きを決意する。
サンクトペテルブルクで逗留したホテルからアンナの邸宅はさほど遠くなかった。ドミトリーは彼女の邸宅前をうろつき、例の犬が老女と散歩に出かける場面を目撃したり、アンナの弾いていると思しきピアノの音を耳にするが、どうすることも出来ない。やがてオペラ「Geisha」の公演があることを知り、アンナも来るのではないかと予測し観劇に赴く。
予想に相違せず、アンナは夫と共に観劇へと訪れていた。幕間に夫がタバコを吸いに外に出た際、ドミトリーは彼女の席へ向かう。アンナは驚愕し暫し沈黙するが、やがて次幕が始まる間際に出口の一つから外へと向かい、ドミトリーも後を追う。なかなか人が居ない場所が見つからず、ようやくたどり着いた場所で2人は人目もはばからず抱擁しキスをする。ドミトリーはアンナを忘れられなかったと告げるが、アンナも実はあれから今までドミトリーを忘れることができなかったという。
これ以降2人は2~3ヶ月に1度は会うという不倫の仲となる。アンナは夫に婦人病の医者に見てもらうという口実でモスクワに上京してきては、人目を忍び密会する。ドミトリーには今まで心底愛した女性がおらず、これが初めての愛といえた。そして2人は今後もこの関係が長続きしてしまいそうだと感じながら、逢瀬を続けるのであった。
===== あらすじ おわり
「罪と罰」(フョードル・ドストエフスキー)
===== あらすじ はじめ
帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルク。学費滞納のため大学から除籍された貧乏青年ラスコーリニコフは、悪名高い高利貸しの老婆アリョーナから借りた金を、貧乏なため娘が娼婦になったと管を巻く酔っ払いのマルメラードフに与えた翌日、かねてからの計画どおり、アリョーナを斧で殺害し、金を奪う。しかし、そこにアリョーナの義妹も入ってきたので、勢いでこれも殺してしまう。
この日からラスコーリニコフは、罪の意識、幻覚、自白の衝動などに苦しむこととなる。翌朝、ラスコーリニコフは、下宿の女中が「警察に出頭せよ」との命令書を持ってきたので慄く。行ってみると借金の返済の督促であったが、刑事達が昨夜の老婆殺しの話を聞いて失神する。様子が変だと思った友人のラズミーヒンが、ラスコーリニコフを訪問してきたところに、母から手紙で知らされていた妹の婚約者のルージンが現れる。成金のルージンを胡散臭く思ったラスコーリニコフは、これを追い出す。そんなとき、ラスコーリニコフは、マルメラードフが馬車に轢かれたところに出くわす。介抱の甲斐なく、マルメラードフは死ぬ。マルメラードフの家に金を置いて下宿に戻ると、郷里から母と妹のドゥーニャが来ていた。ラスコーリニコフは、罪の意識のためにその場に倒れる。
母は、息子の無礼にルージンが怒っていることを心配していた。金持ちのルージンが一家の貧窮を救うと期待していたからだ。予審判事のポルフィーリは、ラスコーリニコフが2ヶ月前雑誌に発表した論文の「選ばれた未来の支配者たる者は古い法を乗り越えることができる」というくだりは殺人の肯定であり、あなたはそれを実行したのではないかと探りを入れて来る。なんとかポルフィーリの追及をかわしたラスコーリニコフだが、下宿の前で見知らぬ男から「人殺し」と言われ立ちすくむ。しかし「人殺し」という言葉は幻覚で、見知らぬ男はラスコーリニコフに用があったのだった。
スヴィドリガイロフと名乗ったその男は、ドゥーニャが目当てで、ルージンとドゥーニャの結婚を一緒につぶそうと持ちかけてくる。ラスコーリニコフは、これを追い返すが、図らずともルージンは、自らの恩着せがましさがばれてしまったために、妹の結婚は破談となる。ラスコーリニコフは、マルメラードフの娘で娼婦であるソーニャのところへ行き、聖書の朗読を頼んだり、君と僕は同類だと言って、ソーニャを不安がらせる。そして、再びポルフィーリと対決するが、その横で、事件当日そこにいたペンキ屋が、自分が犯人だとわめき出したので、驚きながらも解放される。
ソーニャは、マルメラードフの葬式後の会食で、同じアパートに逗留していたルージンの策略により、金銭泥棒に陥れられる。ラスコーリニコフは、彼女を追いかけ、ついにその場で彼女に殺人の罪を告白する。しかし、これを隣の部屋に居たスヴィドリガイロフが聞いていたのだった。
ポルフィーリが三度現れて、ペンキ屋でなく、お前が犯人だと主張する。一方、スヴィドリガイロフは、ラスコーリニコフの犯罪をネタに、ドゥーニャに結婚を迫っていた。ドゥーニャは、スヴィドリガイロフのところへと現われるが、結局結婚を拒絶したので、スヴィドリガイロフは自殺する。とうとう罪の意識に耐えられなくなったラスコーリニコフは、母に別れを告げる。何か恐ろしいことが起こっただけを悟る母。ドゥーニャの顔はすべてを知っていた。ラスコーリニコフは自殺を考えていたが、ソーニャの力を借りて、ついに自首する。
===== あらすじ おわり
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