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2016年7月23日土曜日

(578) 真実の人間へ / 坂口安吾『堕落論』(4)(7月25日(月) 22:25- Eテレ放送)


 ここしばらくは無かったが、元々は最終回にはゲストが登場していた。今回は久しぶりにゲストが登場するようだ。そうすると、放映内容は、テキストとは変わってくる。

 
 以下は、テキストを読んで書いている。

===== 引用 はじめ  P.68 – P.69

 … 浮かび上がってくるのは、あらゆる既成の権威に盲従・屈服することを拒絶し、裸の自己をさらけだして世間と対決しようとする頑強不屈の男です。

 また安吾はその思想と並行して、放蕩無頼、流浪貧困の暮らしを続け、女性関係も起伏が激しく、 … 覚醒剤・睡眠薬中毒になったり、国税局や競輪主催者と一人で真っ向から闘ったりするなど、大変なエネルギーを発散した人生を送りました。その挙句に最後は脳出血で突然死したわけですが、 … 安吾はとにかく目一杯“生き抜いた人”だったと言えるでしょう。

 … 最終回は、坂口安吾という人間とその思想の強さの源泉を探るとともに、その無頼の思想が戦後、どのように継承されていったのかを、… たどってみたいと思います。

===== 引用 おわり

 
1.      坂口安吾という人間とその思想の強さの源泉を探る

1.1.     母 … 愛憎相半ばする母との関係

    安吾の思想 - というよりも、あらゆる物事に立ち向かう姿勢
   といったほうがよいかもしれませんが -
   の形成に強く影響していると思われる。
    普通の親子のような甘え甘えられの関係ではなく、
   互いに突き放し、しかし実は似た者同士であり、
   愛と憎しみ一体で密着している。

1.2.     父 … 大きながらんどうのような存在

    母は憎しみの対象で、父は他人だった

1.3.     家 … 「いつも何か自由の発散をふさがれているような」場所

    恐ろしさを感じていた

1.4.     中学校 … 居場所がなく、松林で一人寝ころぶ

    一人ぼっちの孤独感。これが、
   何にも頼らずに生きろ、という主張につながったのではないか
   救いのない曠野をひとり歩いていく道こそが救いに通じる、の原点

1.5.     青年時代 … 仏教などの宗教、哲学に熱烈に傾倒

    現世的な制度や文化を、つまるところ相対的なものとみる観点
    もろもろの現世事象を迷妄、無情と悟ることを説く仏教の教え
     「ニセの着物」をはぎとって裸の人間になって出発せよという
      安吾の主張に通じるものがある

 
2.      その無頼の思想が戦後、どのように継承されていったのかをたどる

2.1.     岡本太郎 … 文化論の面での後継者

    岡本の論と安吾の思想との一番の共通点は、
   それまで正統とされていた日本の姿、日本の文化感を
   “疑う”という視点です。

2.2.     ヒッピー

    既成社会の論理を疑い、ゼロベースから
   新たな人間性のありかた、社会のありかたを
   問おうとした。…安吾の主張と同じ。次の「大学紛争」も同じ。

2.3.     大学紛争

 

===== 引用 はじめ  P.88 P.89

 大抵の人は、どの時代でも、それまでの安定した生き方の中で自分の居場所というものをある程度定め、そこでの安定した生き方というものを築いていこうとしています。しかし、… 自分の外側にある枠組みというものは必ずしも絶対とは言えません。

 …

 既成の制度や規範から堕落して解放されよ、裸一貫になって自分の頭と心で考え、行動せよという安吾のメッセッシーは、今日の私たちにとってもなお切実な警告であり、同時に、大きな励ましにもなるのではないでしょうか。

===== 引用 おわり

 
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出典:
大久保喬樹(2016/7)、坂口安吾「堕落論」、100de名著、NHKテキスト

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