坂口安吾
===== 引用はじめ P.4
坂口安吾は、敗戦後の日本社会で一世を風靡したいわゆる「無頼(ブライ)派」を代表する作家として、太宰治、織田作之助らと並び称せられる存在です。
===== 引用おわり
「無頼」とは
===== 引用はじめ P.20~P.21
無頼派の「無頼」とは、一般的に「ごろつき」といったイメージを持たれることが多いと思いますが、もともとの字義をたどれば「頼らない」ということを意味します。歴史上で言えば、… 戦国時代に移行していく転換期にあらわれた、体制秩序の枠を外れ、法も掟も無視して、何にも頼らずに自力で道を切り開いていく野武士的な生き方を指すものと言えます。… その無頼自立の精神を、現代の戦国時代ともいうべき敗戦時において体現したのが、まさに坂口安吾だと言えるでしょう。
===== 引用おわり
『堕落論』
===== 引用はじめ P.6
『堕落論』は、敗戦直後の混迷する社会状況を鋭く見抜き、それに立ち向かうための生き方を大胆に提示してみせた評論です。
===== 引用おわり
===== 引用はじめ P.9
『堕落論』は400字詰め原稿用紙で20枚【← ※ 訂正しました】ほどの文章です。その中で安吾は、それまで日本人を縛っていた道徳観、規範意識のことごとくを否定し、そこから解放されるべきことを、「堕落」という挑発的な語を用いて説きました。
===== 引用おわり
堕ちる
===== 引用はじめ P.18
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。 … 人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。
===== 引用おわり
戦後70年を経たいま、この「堕落論」を読む意義
===== 引用はじめ P.6~P.7
… いま、日本人や日本社会は、どのような方向に向かっていけばよいのかという進路が明確に見えにくくなっています。…
『堕落論』の中で安吾は、そうした時には原点に還ることが必要だと述べています。世の中の規範、道徳、常識といった前提条件をいったんすべて外し、いわば素っ裸の人間になって現実に直面してみろというのです。… 特に、人生の転機に立った人、いままでの自分のやり方ではこれ以上進めないと感じている人にとっては、大変“効く”評論であると思います。
===== 引用おわり
出典:
大久保喬樹(2016/7)、坂口安吾「堕落論」、100分de名著、NHKテキスト
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