【 読書 ・ 100分de名著 】男らしさと力強さの象徴たる「パパ・ヘミングウェイ」ではない、性的曖味さに怯え、作家としての自信のなさに震えながら、とにかくがんばって作品を書いていた「弱い」ヘミングウェイの姿を読み取れるようになった
「100分de名著」 『ヘミングウェイ スペシャル』が、10月4日(月)から始まります。Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
講師は、都甲幸治(翻訳家・アメリカ文学研究者・早稲田大学教授)
<全4回のシリーズ> いずれも10月
【はじめに】 二人のヘミングウェイ
第1回 4日放送/ 6日再放送
タイトル: 大いなる自然との対峙~『老人と海』①
第2回 11日放送/ 13日再放送
タイトル: 死闘から持ち帰った不屈の魂~『老人と海』②
第3回 18日放送/ 20日再放送
タイトル: 交錯する「生」と「死」~「敗れざる者」
第4回 25日放送/ 27日再放送
タイトル: 作家ヘミングウェイ誕生の軌跡~『移動祝祭日』
【はじめに】 二人のヘミングウェイ
ヘミングウェイと言えば、アメリカの文豪、釣り好き、男らしさの象徴……。ヘミングウェイはまさにそのイメージを体現する人物、いわゆる「パパ・ヘミングウェイ」です。 …
圧倒的に男っぽいマッチョ・ヒーロー。それがヘミングウェイのパブリック・イメージでした。彼が書く小説もその人物像に沿って読まれることが多く、いまでも「マッチョ小説の代表」として定着している作家だと思います。
とごろが、実際に作品を注意深く読み、伝記的な事実を追っていくと、もう一つのヘミングウェイ像が見えてきます。たとえば性的指向が曖味で、あるときは同性愛的、あるときは異性愛的と揺れている。そして、決して強くもない。「この先輩作家に影響を受けたでしょう」などと人から言われると、必ず強硬に反論して、その先輩作家の悪ロを書いたりする。 … 性的に曖味で、人格的にも弱いという、「マッチョな文豪」とはまったく異なるヘミングウェイ像が見えてきます。
ヘミングウェイは幼い頃、母親によって「女の子」として育てられていました。 … この幼少期の体験により、ヘミングウェイの性的アイデンテイテイは、女性と男性の両方が混じった、両性具右的なものとなっていったようです。
<出典>
都甲幸治(2021/10)、『ヘミングウェイ スペシャル』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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