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2021年9月21日火曜日

(2462) 偶然の学習について。集中力を養うことにより失うもの

 【 中心課題 ・ 偶発的学習課題 】 課題のために資料を集めていると、実はその時に目を通していた、課題とは直接関係しない周辺の情報も記憶の中に残り、何かヒントがあると、そこにあったことが思い出されるのです


===== 引用はじめ

 読者のみなさまに課題があります。挿絵(添付図)の中に犬と猫が何匹いるか覚えておいてください。後で問題を出します。

===== 引用おわり

 

 さて、設問者として、二通りの問題の作り方があります。

 

(1)     挿絵の犬と猫は合計何匹いましたか

(2)     絵の中に鳥は何羽いましたか

 

 ここで、(1)は中心課題、(2)は偶発的学習課題。(2)は裏切りです。「犬と猫が何匹いるか覚えておいてください」と指示したのに、全く関係のない問題を出しているのですから。でも、この「難問」に強い人たちがいます。

 

===== 引用はじめ

 若干方法は異なりますが幼稚園児、小学校2年、6年を対象にした研究があります。その結果では、中心課題の正解率はそれぞれ45%70%85%くらいでしたが、偶発課題では20%18%12%くらいでした。

 このことは、年齢が上がるにつれて与えられた中心課題に注意を集中させ、雑音を締め出そうとしていることを意味します。

===== 引用おわり

 

 学校では(少なくとも日本の学校では)、中心課題を徹底的に鍛え上げ、その結果として偶発的学習課題に弱くしています。一点に集中して、キョロキョロしなくなってしまうからです。

 

 得ることは、失うことです。

 

 創造的な活動は、多分に偶発的学習課題に関わりそうです。「優等生」でない、「困った子」が、画期的な発想をします。

 

 一度固まってしまった集中力を手放すのは難しいかと思いますが、日常生活でキョロキョロする習慣を身に着ければ、何かが変わってくるかもしれません。

 

 散歩するときも、私はまっすぐ前を見て先を急ぎますが、ゆっくりキョロキョロと周りを楽しそうに見ながら歩いている人もいます。よく考えれば、これが「散歩」です。

 

<出典>

偶然の学習について

【河合優年、子ども点描】 産経新聞(2021/09/09)



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