【 総裁選 ・ 討論会 】 自民党総裁選に向けての、日本記者クラブ主催の討論会。全体としては、各々が主張を伝えることができて、良かったと思う。ただ、司会者が自分の信条を押し付け、登壇者に公平な発言機会を与えなかったのは、よくない
自民党総裁選(29日に投開票)に立候補した4候補が18日、日本記者クラブ主催の公開討論会に臨んだ。「ながら」だったが、テレビ放送を見た。感想を書く。
【前半】良かったと思う
4人の候補が、他の3人の候補のうちの一人を指名し、質問を出す。指名された人が質問に答えたのち、質問者が自論を述べる。これを順番にした。
少なくとも、形式的には公平だし、他の候補の意見と対比しながら自分の意見を述べられるので良かったと思う。
聞いていて感じたのは、アメリカでの討論会は、いかに相手を引きずり下ろすか、相手の失言を引き出すが、相手の印象を悪化させるか。政策論争そのものより闘争に重点が置かれる。しかし、今回の日本の討論会では、ネガティブキャンペーン的な発言はあまりなく、平和的だった。おそらく日本人は「人の悪口を言うのはよくない」という気質があるので、攻撃を見せつけると不利になるので、控えているのではないか。
本論から外れるが、国内なら良いが、攻撃的なアプローチに慣れていない日本政治家が海外でちゃんと対応できるのか不安になった。首相は、こういう対応ができる資質も必要だろう。
結果としては、有力候補であり、他の候補者とは異なる年金制度改革、脱原発をかかげている河野氏への質問が多く、「目立つ」という点で有利になった。ただ、公平なルールの下に進められ、河野氏を指名しない自由もあるので、問題ないだろう。
【後半】不満が残った
阿比留瑠比氏は、「かゆいところに手が届かないもどかしさを覚え」3点を挙げた(少し、藤波の意見も入っています)
(1)
日中、韓関係や北朝鮮対応については岸田文雄、河野太郎両元外相に限定して質間された → 外交経験がなくても、首相になれば外交問題にかかわらねばならない。この件に関しても高市、野田両氏の認識を聞きたかった。発言のチャンスが作為的に奪われた。
(2)
聞いたような既視感を覚えるこんな質問に、時間がかけられていた。 … 4候補それぞれに森友学園問題や桜を見る会に関して聞いた → 国民の知る権利に資することを目的とするならば、それにふさわしく国民の関心事項に沿った質問を用意して臨むべきではないか。ここでの時間を削ってでも、(1)で公平にチャンスを与えるべきだった
(3)
河野氏には「安倍政権では人事による個喝などで、官僚が委縮したと指摘される」と質問していた → 新しい総裁候補に、彼ら自身の政策や展望ではなく以前の政権に対するスタンスばかり問おうとする姿勢は異様だった
概ね阿比留瑠比氏の意見に同感です。特に「安倍晋三首相と菅義偉首相の政治の最大の問題の一つが、丁寧な説明を欠いていたことだ」と前置きした上での質問と、さらには、回答者に対して、「安倍元首相が嘘をついているのに」と決めつけて質問したのは、不適正で、不信感を覚えた。
質問をした坪井氏がどのような意見をもっても構わないが、ここは討論会をリードする役割である(ミスリードかるのが役割ではない)。坪井氏の意見を聞く場ではなく、候補者の意見を聞く場である。様々な意見があるにもかかわらず、自分の信条を前提として議論を進めるようでは、司会者としての資格がないだろう。
「公平」というのは、難しい。誰がどのように言っても、誰かが「公平でない」と文句を言うものだ。ただ、公平であろうとは努力する必要はあろう。最初から公平になろうとせず、自分の主張を前提にして討論をリードしたというのは、傲慢で、論外だと思う。この討論会での唯一の敗者は、司会者ではないか(自分では、自分の主張を言えたので勝者だと思っているかもしれない)。
<データ>
自民党総裁選 日本記者クラブ討論会の要旨
【新型コロナウイルス対策】、【ロックダウン(都市封鎖)】、【医療提供体制】、【経済財政、成長戦略】、【年金】、【エネルギー】、【菅義偉首相のコロナ対応】、【台湾情勢】
https://www.sankei.com/article/20210918-GB76BRQL7ZK4VCMEOY6WGSFQ6E/
総裁候補の主な主張(政策集や発言から抜粋・新型コロナウイルス対策は別面)
【外交・安全保障】、【憲法】、【皇位継承】、【経済政策】、【地方】、【原発・エネルギー】
産経新聞(2021/09/19) → 添付図
<出典>
総裁選 討論会。台湾有事 4氏論戦
総裁選討論会観戦記 聞きたかった外交・安保 阿比留瑠比
産経新聞(2021/09/19)
https://www.sankei.com/article/20210918-KNSABVJEWZJLJM6SJSN6R2CMR4/
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