【 個性の違い ・ 五輪柔道 】 「何一つやり残すことなく戦ってくれた」「2人(ウルフ・アロンと原沢久喜)を比較すると根本的な個性の差は大きかったと思う」「彼らの根っこにある性の違いに私がうまく応じていれば…と悔やまれる」
「彼らの根性は私が誰よりも近くで見てきたし、何一つやり残すことなく戦ってくれた」「2人(ウルフ・アロンと原沢久喜)を比較すると根本的な個性の差は大きかったと思う」
根性を超えたところで、勝敗に影響したのは、個性の差だろうと鈴木桂治は分析する。
そして、一方の性格が良くて、他方が悪いとは言っていない。各々の個性にあった指導方法が無かったのかと自ら問いかけている。「彼らの根っこにある性の違いに私がうまく応じていれば…と悔やまれる」
このような監督や上司を頂いた人は、幸せだと思う。
この分析は、我々の日常生活においても、とても役立つと思う。
===== 引用はじめ
アロンに根性があり、100キロ超級5位の原沢久喜にそれがなかった、というわけではない。彼らの根性は私が誰よりも近くで見てきたし、何一つやり残すことなく戦ってくれた。
ただ、2人を比較すると根本的な個性の差は大きかったと思う。ピンと張った精神のゴムを、さらに引き伸ばすように自分を追い込んだのが原沢で、ウルフは両肩にかかる重圧をうまく逃がす術を知っていた。少しでも多くのものを詰め込もうとする私の焦りをよそに、ウルフは図太かった。「道が混んでいるので練習に行けません」と拍子抜けするほどの明るさで連絡してきたことがある。原沢は不調が明らかなときでも、自分から練習をやめようとはしない。こちらが無理に止めてようやく休む、どこまでも一徹な選手だった。
五輪後、原沢は私に「精神的に休める場所がなかった」と漏らした。通い慣れた母校日大の道場は新型コロナウイルス禍で閉鎖され、心の休まるときがなかった、と。根性とは別の部分、彼らの根っこにある性の違いに私がうまく応じていれば…と悔やまれる。
===== 引用おわり
<出典>
「根性」と根っこにある「性(サガ)」
【鈴木桂治 柔のすゝめ】 産経新聞(2021/09/16)
写真は、
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