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2017年12月25日月曜日

(1097)  家族と暮らしの再構築(1) / 「人口減少社会の構想」(10-1)(放送大学)


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目標&ポイント
===== 引用はじめ
 家族や親族・地域社会の変容が人々のくらしに不可欠のケア機能を衰退させ20世紀の工業化時代に編成されたくらしのセーフティ・ネットが不安定化していることを、リスクの多様化・階層化・普遍化という特徴で理解する。
 21世紀のあらたな生活課題を踏まえて、家族とくらしを支える生活システムと地域コミュニティを展望する。
===== 引用おわり
 

「第10章 家族と暮らしの再構築」の目次

1. 単身・長寿社会の光と影
2. 希少化する対人ケアと家族
3. 人々が助け合う仕組み作り
 

 大切なところなので、分けて書く。
先ず、1.単身・長寿社会の光と影
 

 単身化には選択的単身化(光)と制約としての単身化(影)の両面がある。

  安定した仕事と収入があり、豊かな社会関係に恵まれた単身者の一群がある一方で、
  希薄化した家族関係しかもつことができず、経済的不安を抱え、社会的にも孤立した状態の一群がある。

 長寿社会とは、多くの人が長寿を享受できる社会なので、基本的には光だと思うが、
 では、なぜ、何が、どのように影になっているのか。

(1) 少子高齢化が加速化し、家族の多様化が進むにしたがって、従来の家族福祉と社会福祉で人々の生活を支えることができなくなった

(2) 2000年代に入ると一気に単身者の増加と家族の多様化という形で現れ、性役割分業体制がもはや前提とならなくなった。その趨勢は、21世紀まで続くだろう

性役割分業体制:子どもの養育や看護や介護の必要なメンバーの世話は、支払いを求めない労働(無報酬労働)で、市場サービスと本質的に異なっている。このような労働の大半は、性役割分業体制のもとで、もっぱら女性に負わされてきた。
 

 二つの矛盾が矛盾のまま残っていることに問題の難しさがある。
 

(1-A) 家族や親族とのわずらわしい関係は好まず、ほどほどの距離を取ることを望んでいる(図101)一方、

(1-B) 家族の大切さを感じる割合が増加し続けている(図102

 

(2-A) 家族を拘束と感じ自由になりたいと願う人々が増加しているにもかかわらず、

(2-B) 家族以外の社会関係は著しく希薄で(図103)、いざという時に家族以外に頼ることができる人がいない人々が少なくない(図104
 

 (2-B)の理由として、次の分析は、当たっていると思う。

===== 引用はじめ
 家族以外の社会関係が広がらないのは、高度経済成長期の社会構造・生活構造の特徴と深くかかわっている。こ時代に、伝統的な親族共同体や地縁関係が崩れ、それに代わって、家族とカイシャ(会社)が現れた。
 農村から都市へ移住した人々が、「カイシャ」と「(核)家族」という、いわば“都市の中のムラ社会”を作り、内側にひきこもっていったのである。
 家族は、稼ぎ手としての夫・父の賃金と妻・母の家事役割で支えられるようになった。子どもの教育に特化した家族は親族集団や地縁集団との関係を断ち切り、閉鎖的な家族集団へと向かった。人々の意識は、配偶者と子ども、そして勤務先の人間関係へと集中し、それ以外の社会関係への関心が薄れていった。
===== 引用おわり
 

 社会も家族も変わった。しかし、社会も個人の意識も、追従できていない。

 

出典
宮本みち子、「10章 家族と暮らしの再構築」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)




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