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2017年12月17日日曜日

(1089)  くらしのセーフティ・ネット / 「人口減少社会の構想」(9)(放送大学)


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(K0230)  趣味(10) 趣味の辞典(3) / トライアングル理論(23) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0230-10-323.html
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目標&ポイント

===== 引用はじめ
 少子高齢化、人口減少は、単身化を伴って進み、社会関係のあり方や人々の有する絆に何らかの影響を及ぼしている。
 とくに、家族の多様化、なかでも単身化が進むことは自由を拡大する一方で、くらしのセーフティ・ネットの安定性を脅かす面がある。その実態を見ていく。
 とくに、安定した家族への帰属もあやうい女性たちの実態に焦点をあてる。また、社会的に孤立化する男性、ケア機能の不在の実態と課題を考える。
===== 引用おわり
 

「第9章 くらしのセーフティ・ネット」の目次

1. 脆弱化するくらしのセーフティ・ネット

2. 単身化する社会の姿

3. 変わる家族・仕事と女性

 

<各論>

1. 脆弱化するくらしのセーフティ・ネット

(1) 希薄化する社会関係

 慣習や規範に絡め取られてきた人々の自由度が増し、選択肢が拡大したが、重大な問題に遭遇したとしてもそれは個人の選択の結果とされ、自己責任に帰する傾向も強まった(社会の液状化)。「結婚しないこと」「子どもをもたないこと」「離婚」などの選択が社会規範として受け入れられるようになる一方、「安定した基盤の喪失」「貧困化」「貧困の再生産」へとつながることが予想される。
 

(2) 現役世代の脆弱化

 着目すべき現象は現役世代の脆弱化である。非正規雇用者の増加と不安定な正規雇用者の増加が家族の生活を揺るがし、崩壊する家族が多くなる。また、現在の働く貧困層(ワーキング・プア)が高齢期に達した時点で、生活保護受給者が急拡大する可能性が高い。
 

2. 単身化する社会の姿

(1) 単身化による影響

 長期にわたる経済不況と格差が拡大するなかで、家族形成ができない若年層や中年層、不安定就業と貧困が直接の原因となって家族崩壊を経験した中年から初老の人々が増加し、単身化していることに注意する必要がある。
 新宿区の単独世帯の割合は62.6%(2010)で、島しょ部を除くと全国で最も高く、人口の40.8%が単身のひとり暮らしである。関連:図9-3(添付)
 

(2) 増加する単身者とケアの課題

 家族を前提として成り立ってきた日本社会は、そこからはじき出された人々を例外として扱ってきた。しかし、いまや例外として片づけられないほど単身化が進み、それらの人々が抱えるニーズを誰が引き受けるのかという問題に直面している。
 

3. 変わる家族・仕事と女性

(1) 女性と労働市場

 1985年の男女雇用機会均等法は、日本型の男性並みの労働ができる限られた女性の社会的地位と所得を引き上げた一方で、その条件に合致しない既婚女性を正規の労働市場から脱落させる結果となった。
 

(2) 労働と家庭からの排除

 女性たちの状況を理解するうえで、社会的排除という用語を用いたい。 … 一方で、労働市場は女性労働を求めるプル要因が働く。ところが稼ぎ手として社会的に承認を受ける男性と違い、女性には常にジェンダー役割が負わされる。家族の世話や介護は、家族の状況のなかで期待されることが多く、女性の自立を阻む。

 
(3) 経済構造の転換と人々のくらし

 クーンツは、若い世帯の生活水準や子どもの貧困率が上昇する根本原因が、ひとり親世帯の増加や崩壊家族の増加にあるという世間の俗説を否定する。貧しいひとり親世帯の増加や家庭の崩壊現象は貧困の結果である場合の方が多い。
 

(4) 貧困化する女性と社会政策

 女性の貧困化に歯止めをかけるためには、性役割分業を前提とする家族と労働市場を転換する必要がある。 … 福祉だけでは女性の貧困問題の根本的解決にならない。これを補完する労働政策が必要である。

 
出典
宮本みち子、「第9章 くらしのセーフティ・ネット」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)


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