画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2017年12月7日木曜日

(1079)  変わる家族と世帯 / 「人口減少社会の構想」(8)(放送大学)


      最新投稿情報
=====
(K0220) 催し物情報(16) <催し物紹介>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k022016.html
=====

 

目標&ポイント

===== 引用はじめ
 家族の形態面と人々の家族観から近世の家族形態の変化をみる。また、高度経済成長期以降の家族の変化をたどり、結婚・家族形成と、長寿化にともなう家族の変化から変わる家族と世帯の様相をみる。総じて、家族の相対化・個人化・脱制度化の動きをおさえる。
===== 引用おわり
 

「第8章 変わる家族と世帯」の目次

1. 現代日本の家族・世帯の形と変化
2. 変わる結婚と家族
3. 人口減少社会の家族のゆくえ

 

<各論>

1. 現代日本の家族・世帯の形と変化


 
2. 変わる結婚と家族

高度経済成長期の結婚・家族はその後大きな変貌をとげる

(a) 高度経済成長期の結婚・家族

(a1) 1975年でみると「皆婚社会」で、「結婚適齢期」があった

  「皆婚社会」:30歳までに男性の78%、女性の90%が結婚し、その後50歳までにはほとんどが結婚する

  「結婚適齢期」:女性では、23歳をピークに2225歳のわずか4年間に約6割が結婚した

 
(a2)「近代家族」が定着した

  「近代社会」:性役割分業(夫は仕事、妻は家庭)を前提とする独特の家族

  「結婚退職率」:女性雇用者が結婚を理由に退職する比率。1960年代には75%に達した

  「専業主婦」:無職の有配偶女子。その割合は1975年がピーク。全年齢で56%、再生産年齢(1549)歳で57%であった

 
(a3)社会規範が強力に人々の意識と行動を縛っていた

  「結婚と性と生殖の一体化」:10代の性経験率は低かった。また同棲も婚外子も少なかった

  「離婚率」:離婚率は上昇が始まってはいたもののその水準は低かった

  「再婚率」:女性の場合、離婚・死別後の再婚率は低かった
 

(b) 高度経済成長期後の結婚・家族

(b1) 晩婚化、婚姻率の低下、生涯未婚率の上昇

  「図8-4 年齢別未婚率及び生涯未婚率の推移」(添付)参照

  生涯未婚率(50歳まで結婚経験がない者の割合)は、2015年(実績)には、男性の24.2%、女性の14.9%2035年(推計)には、男性の29%、女性の19.2%

 
(b2)「子どもを産むには結婚していることが必要」

  日本では同棲が増加するきざしはまだ弱い

  「妊娠先行結婚」が増加している。妊娠を機に結婚しているのだが、妊娠を伴わない結婚が先送される傾向が高まり、婚姻率を下げているものといわれている

 
(c)  長寿化と家族

(c1) 日本老年医学会は、2014年に「フレイルティ」を定義した

  「フレイルティ(虚弱状態)」:老化に伴う機能低下(予備能力の低下)を基盤とし、様々な健康障害に対する脆弱性が増加している状態を指す

  高齢期は「健康」と「虚弱状態(フレイルティ)<要支援・要介護の危機が高い状態>」で構成される「健康寿命」と、「身体機能障害<要支援・要介護状態>」により成り立っている。「図8-5 高齢期の健康状態」(添付)参照

  重視すべきことは虚弱状態の時期にリハビレテーションを活発化することによって健康寿命を延長することである

 
(c2) 高齢者介護と家族

  介護保険制度 … 介護保険制度の財源が逼迫し、介護サービスの担い手が決定的に不足する。介護施設、医療施設の深刻な不足が懸念される状態にある

  家族による介護の形態 … 三世代世帯が多い地域では家族介護が多いが、少ない地域では社会的介護が多い。老夫婦の「老々介護」や高齢者による親の「老々介護」が増えている

  家族による介護の担い手 … 誰が中心になって介護を担うのかに関する規範があいまいになっている。「家」や後継ぎという観念が衰退した。近年では男性介護が急速に増えた(3割)。介護役割を引き受けることにより転職や離職(介護離職)を余儀なくされ、経済困窮や社会的孤立に陥る人が増加している

 

3. 人口減少社会の家族のゆくえ

(a) 次のような傾向が強まっていく。

  家族の個人化:家族内における個人の選択と決定が優先されるようになる傾向

  家族の脱制度化:法や制度によって枠付けられた「家族のあるべき姿」が揺らいでいく傾向

  家族のライフスタイル化:家族のあるべき姿は法制度によって規定されるよりも当事者の選好にゆだねられる傾向
 

(b) 家族の多様化は今後いっそう進むものと予想される。その場合の様相は、

  近代家族型(性役割分業型)、共働き型、直径家族型が併存しながら、その割合を変えていくだろう

  また、単身高齢者や若年単身者および労働年齢期の単身者、そして母子世帯や父子世帯が増加するだろう
 

(c) 少子高齢化が進むなかで、

  従来のように個々人の家族の範囲で諸機能を果たすことはできない

  これからの社会政策体系は、人々がどのような家族を選択するかに関して自由を認めると同時に、社会を構成する1人ひとりの個人の尊重を守り、福祉を実現するというスタンスに立たなければならない

 
出典

宮本みち子、「第8章 変わる家族と世帯」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)


0 件のコメント:

コメントを投稿