~ 『100分で名著』 4月10日(月) 22:25 – 22:50 Eテレ 放映 ~
(1) 愛と嫉妬とは、種々の点で似たところがある
愛と嫉妬に共通するのは、どんな情念よりも『術策的』で『遥かに持続的』な点である。持続するから、そこに術策が入り込む余地が生まれ、術策が入り込むことで、ますます持続する。
(2) 嫉妬こそ悪魔に相応しい属性である
人の心を乱すものは様々ある。なかでも一番厄介なのは『嫉妬』です。三木もフランシス・ベーコンにならって、これを『悪魔に最もふさわしい属性だ』と、強い口調で非難している。
(3) 「自分よりも幸福な状態にある人」が嫉妬の対象になる
嫉妬の対象になるのは、自分より高い地位にある人、自分よりも幸福な状態である人
(4) 嫉妬は「量的なもの」「一般的なもの」に対して働く
嫉妬は『量的なもの』『一般的なもの』に対して働き、特殊なものや個性的なものは対象にならない
(5) 嫉妬は「常に多忙である」
嫉妬する人は、つねに嫉妬のネタを探し回っていて、決して落ち着くことがない。
(6) 嫉妬を消し去る方法
『嫉妬は他を個性として認めること、自分を個性として理解することを知らない』『自分がないことから嫉妬が起こる』
<詳細>
(1) 愛と嫉妬とは、種々の点で似たところがある
愛と嫉妬に共通するのは、どんな情念よりも『術策的』で『遥かに持続的』な点である。持続するから、そこに術策が入り込む余地が生まれ、術策が入り込むことで、ますます持続する
他の情念はそんなに長続きしないので、愛や嫉妬ほどは人間を苦しめない
(2) 嫉妬こそ悪魔に相応しい属性である
人の心を乱すものは様々ある。なかでも一番厄介なのは『嫉妬』です。三木もフランシス・ベーコンにならって、これを『悪魔に最もふさわしい属性だ』と、強い口調で非難している。
『どのような情念でも、天真爛漫に現れる場合、つねに或る美しさをもっている。しかるに嫉妬には天真爛漫ということがない。… 即ち、愛は純粋であり得るに反して、嫉妬はつねに陰険である』
(3) 「自分よりも幸福な状態にある人」が嫉妬の対象になる
嫉妬の対象になるのは、自分より高い地位にある人、自分よりも幸福な状態である人
しかも、自分とその人との間に何かしら『共通なもの』があり、自分とその人との差異が『絶対的でなく、自分も彼のようになり得ると考えられる』場合に起こる
(4) 嫉妬は「量的なもの」「一般的なもの」に対して働く
嫉妬は『量的なもの』『一般的なもの』に対して働き、特殊なものや個性的なものは対象にならない
しかも、嫉妬は『自分を高めようとすることなく、むしろ彼を自分の位置に低めようとするのが普通』である。「自分より高いものに憧れ、自分を高めようとする愛とは対照的である。
(5) 嫉妬は「常に多忙である」
嫉妬する人は、つねに嫉妬のネタを探し回っていて、決して落ち着くことがない。
三木は嫉妬の特徴を『出歩いて、家を守らない』『つねに多忙である』などと表現している
『嫉妬の如く多忙で、しかも不生産的な情念を私は知らない。』
(6) 嫉妬を消し去る方法
『嫉妬は他を個性として認めること、自分を個性として理解することを知らない』『自分がないことから嫉妬が起こる』
『人間は物を作ることによって自己を作り、、かくて個性になる。個性的な人間ほど嫉妬的でない』
引用:
岸見一郎(2017/4)、三木清『人生論ノート』、100分de名著、NHKテキスト
写真: この「嫉妬について」が掲載される3カ月前に三木は「哲学入門」を刊行し、驚異的なベストセラーを記録している。
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