~ 『100分で名著』 4月10日(月) 22:25 – 22:50 Eテレ 放映 ~
===== 引用はじめ (P.43)
人が人として存在することが、そのまま幸福であり、
それは「知性」で考えることによって理解されるものだ…
しかし、それを阻むような「感情」が湧きあがってくることがある…
(それは、)虚栄心、怒り、嫉妬(である)
===== 引用おわり
虚栄心について
(1) 虚栄は人間の存在そのもの
虚栄心は「自分があるよりも以上のものであることを示す人間的なパッション」である。普通の人は、自らの根底にある不安に耐えられず、ありのままの自分の姿を直視できない。
(2) 虚栄とどうつきあえばいいか
三つのつきあい方がある。①小出しにする。②虚栄を徹底する。③「創造」により虚栄を駆逐する。
(3) 虚栄心と名誉心との違い
虚栄心はまず社会を対象としている。しかるに名誉心はまず自分を対象とする。虚栄心が対世間的であるのに反して、名誉心は自己の品位についての自覚である。
<各論>
(1) 虚栄は人間の存在そのもの
虚栄心は「自分があるよりも以上のものであることを示す人間的なパッション」である。普通の人は、自らの根底にある不安に耐えられず、ありのままの自分の姿を直視できない。パッションとは、情熱、情緒、感情である。
虚栄心には、両面ある。自分を実際よりよく見せようということであればネガティブな意味だが、自分をより高めようと努力することであればポジティブな意味になる。
(2) 虚栄とどうつきあえばいいか
三つのつきあい方がある。①小出しにする。②虚栄を徹底する。③「創造」により虚栄を駆逐する。
① 小出しにする。例えば少し財布に余裕がある時に小さな贅沢を楽しむように、虚栄を小出しにすれば、大事には至らない。
② 虚栄を徹底する。虚栄によって築いた自分の虚像をとことん演じ切れば、その人の本性と仮性とを区別することは不可能に近い。
③ 「創造」により虚栄を駆逐する。創造とはフィクションを作ることである。虚栄でフィクションを作る前に、他者からの評価や他者との競争とは関係なくフィクションを作ってしまう。
(3) 虚栄心と名誉心との違い
虚栄心はまず社会を対象としている。しかるに名誉心はまず自分を対象とする。虚栄心が対世間的であるのに反して、名誉心は自己の品位についての自覚である。
虚栄心の虜になると、人間は自己を失い、個人の独自性の意識を失うのが常である。一方、名誉心において重要なのは、自分はどうありたいかという自己の品位であり、独自性を失うことはない。
引用:
岸見一郎(2017/4)、三木清『人生論ノート』、100分de名著、NHKテキスト
写真 「パスカルに於ける人間の研究」
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