【 読書 ・ 100分de名著 】 誰でも群衆になり変わってしまう危険性がある。個人個人は善良な性格の持ち主であっても、群衆の一員になると、粗暴で偏狭になってしまう。群衆は未熟な心理しかもたず、非合理な行動をとる存在である
「100分de名著」 ル・ボン『群衆心理』が、9月6日(月)から始まります。Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
講師は、武田砂鉄(ライター)
<全4回のシリーズ> いずれも9月
【はじめに】 現代社会を動かす群衆
第1回 6日放送/ 8日再放送
タイトル: 群衆心理のメカニズム
第2回 13日放送/ 15日再放送
タイトル: 「単純化」が社会を覆う
第3回 20日放送/ 22日再放送
タイトル: 操られる群衆心理
第4回 27日放送/ 29日再放送
タイトル: 群衆心理の暴走は止められるか
【はじめに】 現代社会を動かす群衆
今回は、ギユスターヴ・ル・ボンの「群衆心理』(1895年刊)を取り上げます。独自の視点で近代社会と人間の心理を読み解いた、社会心理学の嚆矢とされる名著です。
本書が書かれた当時のフランスは、市民の蜂起と産業革命によって、社会が大きく変化していました。一般市民という「群衆」が急速に存在感を増しており、王侯貴族ではなく、群衆が歴史を動かすようになったとル・ボンは指摘します。そんな時代に、群衆とは何か、それはいかに形成され、どのような特質・心理・行動様式をもっているのかを解明したのが『群衆心理』です。この本では、群衆を統制。操縦しようとする指導者の手口も明快に分析されています。
ル・ボンは、群衆は未熟な心理しかもたず、非合理な行動をとる存在であると述べています。重要なのは、国籍、性別、人種、生活様式、職業、性格、知力に関係なく、誰でも群衆になり変わってしまう危険性があると警告している点でしょう。個人個人は善良な性格の持ち主であっても、群衆の一員になると、粗暴で偏狭になってしまう。そうした事態は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発展するにつれ、ますます可視化されているように思います。
<出典>
武田砂鉄(2021/9)、ル・ボン『群衆心理』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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