「尊厳死」は必ずしも、「尊厳ある死」ではない、と言った(672)。
私にとっては「生への執着が先ずなくなり、次に死が訪れる」が「尊厳ある死」である(670)。いかに死ぬかが問題ではなく、最後をいかに生きるかが問題である。
そうであるならば、どのように「死が訪れる」かによって、「尊厳ある死」は影響を受ける。
5つに分けて考える。「(1)老衰による死」「(2)病により早められた死(例えば、癌で余命を宣告された)」「(3)事故や脳溢血等によるによる突然の死」「(4)事故や脳溢血等による、植物状態を経由しての死」「(5)認知症を経由しての死」
延命措置について先に検討する。
「(1)老衰による死」… 少しずつ弱って行くので、弱ってきてから、家族などと話し合いながら、延命措置について方針を決め、伝えておく。リビング・ウイル(LW)を書面で表明しておけば、紛れがない
「(2)病により早められた死(例えば、癌で余命を宣告された)」… 期間は限定されているが、家族などと話し合いながら、延命措置について方針を決め、伝えておく。リビング・ウイル(LW)を書面で表明しておけば、紛れがない
「(3)事故や脳溢血等によるによる突然の死」… 延命措置の余地がない
「(4)事故や脳溢血等による、植物状態を経由しての死」… 「不治で末期に至った」と医者が言っても、家族などがそれを受け容れられるとは限らない。判断は、家族にゆだねるしかないのではないか。
「(5)認知症を経由しての死」… 通常は、ゆっくり進行する。軽度認知障害(MCI)の段階で自覚して、本格的になる前に(判断力があるうちに)家族などと話し合いながら、延命措置について方針を決め、伝えておく。リビング・ウイル(LW)を書面で表明しておけば、紛れがない
焦ってリビング・ウイル(LW)を書面で表明しない方が良いだろう、というのが私の意見である。死を意識しない段階で、リビング・ウイル(LW)を正しく決められないと思うからである。間近な死を意識してからで遅くない。ただし、「(4)事故等による、植物状態を経由しての死」については、日ごろから話し合っておくとよいと思う。
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