前回からの続き
<目次>
(1) 縦の人間関係と横の人間関係がある
(2) 福祉や介護の世界の特徴
(3) 要請されるAの努力、Bの努力
(4) 「働きかける」と「主体者である」の相互作用
(5) 主体者であるということ
(6) 現状と将来
<各論>
(1)
縦の人間関係と横の人間関係がある
A: 働きかける側: 例えば、介護する人
B: 働きかけられる側: 例えば、介護される人
①
縦の人間関係は、支配・依存の人間関係である
AからBへ働きかけるが、BからAへは働きかけない
Aは主体者であるが、Bは主体者ではない
②
横の人間関係は、対等な人間関係である
AからBへ、BからAへ、双方から他方へ働きかける
A、Bともに主体者である
(2)
福祉や介護の世界の特徴
①
意識しないと、縦の人間関係になりがちである
②
意識すれば、横の人間関係に転換することができる
③
介護される人が主体者であり続けることが大切である
④
だから、横の人間関係に転換し、維持する努力が必要である
⑤
その努力は、A・B双方に要請される
(3)
要請されるAの努力、Bの努力
①
A(働きかける側:介護する人など)の努力
1)
do for(してあげる) から do with(共にある) へ
してあげるのではなく、主体者である相手と共にある
2)
Bの do for you(あなたのため)
を尊重し、受け入れる
相手からの働きかけを肯定的に取り上げる
②
B(働きかけられる側:介護される人など)の努力
1)
do for me(私のため)より do for you(あなたのため)
自分のことばかりでなく、誰かのためを考える
2)
Aのdo with(共にある) を受け容れ、応える
自ら主体者になり、働きかける
③
A(働きかける側)の努力とB(働きかけられる側)の努力
1)
Aが努力しても、Bが努力しなければ、横の人間関係にならない
2)
Aの努力は、Bの努力を促す
3)
Aの誤った対応は、Bの努力を無力化させる
4)
Aが誤った対応を是正することにより、Bの努力を促せる
5)
Bが努力しても、Aが努力しなければ、横の人間関係にならない
6)
Bの努力は、Aの努力を促す
7)
Bの誤った対応は、Aの努力を無力化させる
8)
Bが誤った対応を是正することにより、Aの努力を促せる
(4)
「働きかける」と「主体者である」の相互作用
①
働きかけるという行動により、その人は主体者になる
②
主体者であるという意識をもつことにより、働きかけることができる
①
ヒトは、主体者であることにより、幸せになれる
②
主体者であることを放棄した時、ヒトにもどり、そこに幸せはない
(幸せそうに見えることは、ある)
(6)
現状と将来
①
【現状】そうは言っても、難しい
===== 引用 はじめ P.208
しかしここで考えなくてはならないのは、高齢者自身に「私はこう生きたい」という意思や、「自分のことは自分でしたい」という意欲がなければ、「自立支援」型のケアはかえって負担になってしまうということです。
この点において、日本の高齢者は自分の人生や生活を自分でデザインする意欲がまだまだ希薄なのではないでしょうか。
ケアは「与えてもらうもの」であって私は「受ける人」という意識が強いと、その受動的で依存的な姿勢ゆえにケアの供給が需要に追いつかないことになり、社会的な費用負担の増大につながってしまいます。
===== 引用 おわり
②
【将来】そうは言っても、改革しよう
===== 引用 はじめ P.209
現在の日本で80歳以上の方に「自分の人生は自分でデザインして下さい」というのは、こうした思考に彼らが慣れていないという意味で酷なことですが、
少なくとも団塊世代以降からは「自己決定する生き方」によって、その人自身の幸福感の向上はもちろん、社会経済的にも安上がりにつく「自立支援」型のシステムを構築していくことが求められるのではないでしょうか。
===== 引用 おわり
引用:
城仁士 編著、「do for から do with へ 高齢者の発達と支援」、ナカニシヤ出版
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