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2018年3月28日水曜日

(1191)  (10) 大槻文彦『言海』 / 「明治の50冊」

 
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(K0332) 「徘徊」使いません(2)その意味するところ <脳の健康><インクルーシブ社会>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/03/k03322.html
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 日本で最初の近代的国語辞典『言海(げんかい)』

===== 引用はじめ
 この国で普通に使われている言葉を集め、説明し尽くす-。日本で最初のそんな近代的国語辞典『言海(げんかい)』は、明治22年に4分冊の刊行が始まり、24年に完結した。国語学者の大槻文彦が独力で編んだ労作は後の辞書の範となる。
===== 引用おわり
 


 説明文はリズムの良い漢文調で、動植物の項目はとくに味わい深い。

===== 引用はじめ
 有名なのが「猫」だ。〈形、虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ〉。体の大きさに加え〈其(その)睛(ひとみ)、朝ハ円ク、次第ニ縮ミテ、正午ハ針ノ如ク〉と瞳(ひとみ)の様子まで描写。〈又能(よ)ク鼠(ねずみ)ヲ捕フレバ畜(か)フ、然レドモ、窃盗ノ性アリ〉という猫好きなら異議を唱えたくなりそうな記述もある
===== 引用おわり
 


 輸入された英語辞書の作りを研究し、街中で耳にした言葉は手帳に書きとめる。こうした地道な努力の末、17年かけて『言海』は完成した。
 普通の語を簡潔に説明する『言海』の文法に普遍性がある。「『言海』を踏襲した語釈は今もある。「川」もその一つ。

===== 引用はじめ
 〈陸上ノ長ク凹(くぼ)ミタル処ニ、水ノ大(おおい)ニ流ルルモノ〉と説明する『言海』に対し、『三省堂国語辞典』第7版は〈地上のくぼみに沿って流れる水(の道)〉。全体の地形を示した後、「水」「流れ」に触れて定義を狭めていく構造は同じ。
===== 引用おわり
 


 難しい語よりも、普通の語の方が、逆に難しいのではないか。

===== 引用はじめ
 《此書ハ、日本普通語ノ辞書ナリ》。巻頭でそう宣言する通り、学術専門用語や固有名詞を排し、日常生活で使われるものを中心に3万9103語を収録。それぞれに語釈(意味)や発音、品詞、語源などを添え、当時一般的だった「いろは」順ではなく五十音順に並べた。国文法を概説する「語法指南」も収めている。
===== 引用おわり
 


 国語を体系化することへの使命感が大槻を動かした。

===== 引用はじめ
 作家の高田宏さんは、大槻の生涯を描く『言葉の海へ』で〈一国の辞書の成立は、国家意識あるいは民族意識の確立と結ぶものである。明治国家にとっての、そういう辞書が『言海』であった〉と記している。
===== 引用おわり
 


【プロフィル】大槻文彦(おおつき・ふみひこ)

 弘化4(1847)年、江戸生まれ。蘭学者・大槻玄沢の孫。漢学や洋学を修め後に国語研究に進む。文部省の命で国語辞典『言海』の編纂にあたり、17年を費やして完成させた。宮城県尋常中学校(県立仙台一高の前身)校長、国語調査委員などを歴任。文学博士、帝国学士院会員。昭和3(1928)年、『大言海』の編纂中に死去した。

 

【引用】
大槻文彦「言海」
独力で編んだ普通語の総体 (産経新聞 2018/03/22
 
(10)大槻文彦「言海」 独力で編んだ普通語の総体
http://www.sankei.com/life/news/180319/lif1803190021-n1.html
(添付図はこのサイトから転載)

 

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