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(K0322) もしバナでトレーニング / 人生の最終段階の治療「ふくろうプロジェクト」(2) <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/03/k0322-2.html
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目標&ポイント
===== 引用はじめ
医療と法のかかわりを考える場合、その関心は、医療事故と訴訟、人生の最終段階における医療(終末期医療)での治療の中止、インフォームド・コンセント、がんなどの告知などに目が向きがちである。しかし、高齢期の医療をめぐる現実の問題は幅広く、社会保障制度と密接不可分である。
本章では、医療保険制度の基本的な仕組みと患者・医師間の法律関係を取り上げ、高齢期の医療と法のかかわり方について考える。
===== 引用おわり
<構成> 14章 高齢期の医療と法
1. 高齢期の医療と医療保険制度
2. 高齢期の医療と診療契約3. 高齢期の看取りと地域包括ケア
ここでは「2.高齢期の医療と診療契約」を取り上げる
(1) 医療を受ける場合、診療契約(医療契約)を締結する
~ 法律としては、こういうことらしい。こんなことは考えずに医者にかかっている。
・
医療機関で医療を受ける場合、患者と医療機関または医師との間で診療契約(医療契約ともいう)を締結する
・
診療契約は、患者側の診療の申し込みがあり、医療側がこれを受諾することによって成立する
・
診療契約は、意思が患者を診療し、患者がこれに対し報酬の支払いをすることを契約内容とする準委任契約と一般に解されている
・
患者が診療の申込みをし、医師が診療を開始したときに成立する双務契約であるとされる
・
病気の診断・治療を内容とする診療契約では、病気の治療という結果を目的としているのではなく、治療に必要な最善の医療を実施することを目的とする
(2) 医療行為と医療同意
①
医療行為に対する同意やインフォームド・コンセント
②
同意能力の有無
③
同意能力がなくなった時の家族の位置づけ
④
同意能力がなく家族もいない場合
⑤
リビング・ウィルの有効性
【各論】
①
医療行為に対する同意やインフォームド・コンセント
・
医療行為(検査や投薬、注射、手術など)に対する同意やインフォームド・コンセントは患者の自己決定を支えるうえで重要であると解されている。医療法1条の4では、説明と同意について規定している
・
医療を受けることに関する決定権は、医療を受ける患者が有している。医師が医療行為を行うためには、診療契約とは別に、原則としてその具体的な医療行為について患者から同意を得ることが必要である
・
その理由の一つは、同意が違法性阻却事由となることにある。今ひとつは、いわゆるインフォームド・コンセントの観点からである
②
同意能力の有無
・
医療行為を受けることにつき同意するためには、同意能力がなければならない
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同意能力の内容や程度については明確な基準があるわけでなく、一般的には、患者本人において医療行為の意義・内容およびそれに伴う危険性の程度を認識できる能力があればよいとされている
③
同意能力がなくなった時の家族の位置づけ
・
実際の医療現場では、患者本人が同意能力を喪失している場合には、家族から同意を得る運用を行っている場合が多い。
・
しかしながら、家族が同意すれば何故違法性がなくなるのか、また、同意を行うことができる家族はどの範囲までなのか、家族間で同意について意見がまとまらなかった場合にどのように運用するのか、など未だ明確にされていない部分が多い。また、家族というだけで患者本人に代わって同意できるとすることに疑問を呈する見解もある
④
同意能力がなく家族もいない場合
・
家族がいない場合、同意を代行する人がいないことになり、医療の同意を厳密に受けとめれば、同意がない以上、積極的な医療行為はできないことになりかねない。結果、同意能力が低下した患者にとっては、適切な医療を受ける機会を喪失することになる
・
成年後見人の医療同意権の有無については、学説上も対立しており、理論的にも運用的にも課題が多い
⑤
リビング・ウィルの有効性
・
(自らの死について尊厳死を望むことを書面にした)リビング・ウィルには、法的な拘束力はないが、尊厳死の意思が表明されていれば、本人の意思を推定した治療を医師が行うことができると考えられている
・
リビング・ウィルを通じて、自身の考えを表明することで、家族や近親者にその思いを理解し、尊重してもらうこともできると考えられている
出典
原田啓一郎、「第14章 高齢期の医療と法」、川島志保・関ふ佐子、「家族と高齢社会の法」、放送大学教材(‘17)
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