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2018年3月26日月曜日

(1187) 国家の深層に潜むもの - 『神々の乱心』 / 松本清張スペシャル (4)

 
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(K0328)  報酬をどう考えるか /自治会長奮闘記(11) <地域の再構築>
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第4回 3月26日放送/3月28日再放送
 タイトル: 国家の深層に潜むもの - 『神々の乱心』
 
Eテレで月曜日。再放送は水曜日、時間は、以下の通り。
  月曜日   午後 10:25~10:50

  ()水曜日 午前 05:30~05:55
        午後 00:00~00:25


【超簡単な説明】(【あらすじ】は後述)
 天皇制と昭和史というテーマを接合した壮大な歴史小説にして未完の遺作
 

【目次】

(1)  清張最後の壮大な歴史小説

(2)  女性が裏で権力を持つ

(3)  「次男」という存在

(4)  アマテラスの弟・ツクヨミ

(5)  「神々の乱心」の意味

(6)  見えないものを書く

(7)  結末のシナリオを予想する

(8)  歴史家・思想家としての松本清張
 



 松本清張の4つの小説を分類すると、3回目の『昭和史発掘』はノンフィクションであり、他の3冊はフィクションということになるが、そこにはノンフィクションの要素が多い。今回(4回目)の『神々の乱心』のベースは、『昭和史の発掘』にある。

 司馬遼太郎「ノンフィクション作家」と呼ばれ、坂本竜馬(竜馬がゆく)、土方歳三(燃えよ剣)、斎藤道三・織田信長(国盗り物語)、秋山好古・秋山真之・正岡子規の(坂の上の雲)など実在の人物が登場する。

 清張は、タブーを恐れない。「天皇制について、その先駆けとなる作家こそ、松本清張でした」。『神々の乱心』では、秩父宮、貞明皇后、昭和天皇、香淳皇后ら宮中関係の実在の人物が登場する。
 
===== 引用はじめ  P.105
 ここで考えてみたいのが『神々の乱心』というタイトルの意味です。「神々」とは、昭和天皇につながる神々ということでしょう。…
 ところが、「神々」から伝わる神器をそろえて、秩父宮を天皇にまつり上げようという勢力がいる。1933(昭和8)12月に皇太子(現天皇)が生まれましたが、月辰会は血統よりも神器をもっている方を正統とした南朝正統論を踏襲する形で、本物の神器は秩父宮がもっていると称し、昭和天皇から皇太子へと継承される皇位を否定しようとした。つまり「乱心」を起こしたわけです。
===== 引用おわり
 
 月辰会は架空の団体だが、天皇家の名は実名を使い、『昭和発掘史』の二・二六事件での調査結果をもとに、大胆なストーリーを進めている。
 
 
===== 引用はじめ  P.107 – P.108
 私は、清張がこの小説を書いた狙いは、タブーを恐れず、「見えないものを書く」ということだったと思います。たとえば昭和天皇と貞明皇后の間に確執があつたとか、秩父宮と貞明皇后が非常に親しいといったことは、濠によって隔てられたあちら側の話であり、普通に生活していれば見えないことです。私たちが抱く皇室のイメージは、テレビでよく見る、みんなで仲睦まじくアルバムなどを見ているような家族団欒の姿でしょう。清張が提示しているのは、そうでない側面です。
===== 引用おわり
注:秩父宮は昭和天皇の弟。貞明皇后は大正天皇の妻で、昭和天皇と秩父宮の母。
 


===== 引用はじめ  P.109
 なかには『神々の乱心』は不敬小説ではないか、と考える人がいるかもしれません。ではなぜ、清張はこうした小説を堂々と書くことができたのでしょうか。
 そこは前回の『昭和史発掘』とも共通するところで、清張は決していたずらに想像を膨らませたわけではなく、史料を通して明らかになった事実を土台にしているという自負があったと思います。
===== 引用おわり
 


【あらすじ】 Wikipediaより

 昭和8年のこと、埼玉県比企郡のとある町に、「月辰会研究所」という降霊術の研究団体があった。特高警察の吉屋警部は、内部の様子を聞こうと、研究所から出てきた若い女性に質問するが、その女性・北村幸子が宮中に奉仕する深町女官の使いであることが判明し、仰天する。幸子の所持する封書には、北斗七星に新月を組み合わせた奇怪な紋章が付されていた。

 深町女官は、月辰会と関わりを持っているのか?吉屋が探りを入れようとした矢先、北村幸子は奈良県の吉野川で投身自殺をしてしまう。自分の尋問のせいかと責任を感じた吉屋は、幸子の葬儀に顔を出すため吉野町に向かった。

 自殺現場で冥福を祈る吉屋の前に、一人の紳士が現れる。紳士は深町女官の弟・萩園泰之であった。幸子の弟・友一の依頼を受けた萩園泰之も、事件に首を突っ込み始める。しかし、謎は多岐にわたり深まっていった…。
 

出典
原武史(2018/3)、松本清張スペシャル、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
 
 

100de名著 20184月は、『法華経』
講師: 植木雅俊(仏教思想研究者)
 
釈迦がほんとうに伝えたかったことは何か
 
アジア諸国で「諸経の王」と広く信奉されてきた「法華経」。日本でも仏教界は勿論のこと『源氏物語』や宮沢賢治などの文学、そして等伯や光悦などの美術にも影響を与えてきた。サンスクリット原典から日本語訳を果たした筆者が、宗教書にとどまらない「思想書」として本書を読み解く。
 

テキストは、324日より発売を開始した。


 

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