「注文の多い料理店」「鹿踊りのはじまり」「貝の火」「イーハトーボ農学校の春」
~ 『100分で名著』 3月6日(月) 22:25 – 22:50 Eテレ 放映 ~
(1)
宮沢賢治の童話は、児童文学の枠に収まらない( P.5 )
(2)
自然からもらってきたものを書いただけの「注文の多い料理店」( P.9 )
(3)
賢治の童話では、風が吹くとそこから物語が始まる( P.10 , P.13 )
(4)
風とは、そこに命を吹き込む大いなるものの息吹である( P.14 )
(5)
東北の自然からもらった言葉~「鹿踊りのはじまり」( P.17 )
(6)
天が持つ感性の不思議~「共感覚」とは何か(
P.22 )
(7)
いま、ここ、を感じること~「貝の火」(
P.26 )
(8)
光を聞き、味わう~「イーハトーボ農学校の春」( P.27 )
(9)
賢治の感性を自分の感性で読む( P.33 )
<詳細>
(1)
宮沢賢治の童話は、児童文学の枠に収まらない( P.5 )
賢治の童話では、怪しい異界が登場し、想像を超えた感性の世界が広がり、謎が謎を呼び、どこかに死の予感もある…。児童文学とは言えない。児童文学には、成長のための道徳的な教訓がある。
(2)
自然からもらってきたものを書いただけの「注文の多い料理店」( P.9 )
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで。虹や月あかりからもらってきたものです。
… ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。(「序」より)
(3)
賢治の童話では、風が吹くとそこから物語が始まる( P.10 , P.13 )
賢治が作品に活かしたさまざまな自然のモチーフのうち、最も重要なものが「風」です。賢治の童話では、風が吹くとそこから物語が始まります。
… 風が吹いて物語が始まるもう一つの代表作といえば、「風の又三郎」です。
(4)
風とは、そこに命を吹き込む大いなるものの息吹である( P.14 )
… 風が吹くことで生まれる異世界が舞台になっています。そして風とは、そこに命を吹き込む大いなるものの息吹であるのです。
… 宮崎駿の作品にも受け継がれています。…「となりのトトロ」…「千と千尋の神隠し」… 異界が動き出すときには、風が吹き渡るのです。
(5)
東北の自然からもらった言葉~「鹿踊りのはじまり」( P.17 )
「鹿踊り」とは、岩手県のあたりで広く行われている郷土芸能です。…
自然と人間の一体化を踊りで表現し、供養や悪魔祓い、収穫を祝うために行う「鹿踊り」この郷土芸能からインスピレーションを受けて作られたのが、「鹿踊りのはじまり」です。
(6)
天が持つ感性の不思議~「共感覚」とは何か(
P.22 )
… 「共感」から宮沢賢治を考えるというアプローチがあります。外部からの刺激はその性質によって、色や形は眼、音は耳、匂いは鼻、味は舌、触感は皮膚というように、別々の器官を通じて認識されます。ところがごくまれに、一つの刺激に二つ以上の器官が反応し、感覚が混同してしまう性質をもつ人がいます。この感覚が共感覚です。
(7)
いま、ここ、を感じること~「貝の火」(
P.26 )
またこの童話では、「いきなり」や「急いで」が多用されていねのも特徴です。 … 湧き上がる感情と、それに即応する行動によって物語がどんどん進んでいきます。一瞬の歓喜 - 「いま、ここ」にある多幸感のようなものを、顕著に表している …
(8)
光を聞き、味わう~「イーハトーボ農学校の春」( P.27 )
賢治の特異な感性がはじけている作品の代表は「イーハトーボ農学校の春」でしょう。ここではもう共感覚が炸裂しています。春の光り輝く喜びが音として表され、実際に文中に楽譜が挿入されているのです。
(9)
賢治の感性を自分の感性で読む( P.33 )
… 読む側も頭で理解しようとするのではなく、わからないものはわからないものとして受け入れ、謎を大いに感じ、それを楽しみながらいろいろな感性を働かせて読んでみるといいと思います。賢治の特異な感性が生んだ物語を、自分の感性で自由に読んでみる。すると、そこにはさまざまな新たな発見が待っているはずです。
引用:
山下聖美(2017/3)、『宮沢賢治スペシャル』、100分de名著、NHKテキスト
写真:作品群(1)、「太陽マヂック」
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