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2021年7月7日水曜日

(2388) 「三振恐れぬフルスイング 振るから何かは起こる」(1)

 【 豊田泰光 ・ 三振 】三振は打者としてこれ以上ないという敗北だが、積み重ねれば勲章になる。三振が多くても監督が使いたくなる選手だったからだ。豊田さんには「三振のポリシー」があった。とにかく振る、振らねば何も起こらないのだから。


 「2ストライクに追い込まれるとちょこんと当てようかと思う」。自分自身を振り返ると、「ちょこんと当てた」ことが多かった。一方、三振覚悟で振り回して、あえなく三振することも少なからずあった。こう書くと情けない人生のようにも思えるが、三振の方が思いで深い。たまには当たってホームランになったことよりも。

 

===== 引用はじめ

 日本経済新間の連載コラム「チェンジアップ」に書いた三振論も奥が深い。豊田さん(強打の遊撃手として西鉄ライオンズなどで活躍した豊田泰光さん)は日本球界で初めて通算1000個の三振を記録した。

 〈むやみにバットを振り回すだけの無思慮な人間だと思ってほしくない。2ストライクに追い込まれるとちょこんと当てようかと思うが、そんな時、もう一人の私がささやくのだった。「ホームランが打ちたくて、子供の時分から思い切り振ってきたのだろう。今さら当てに行ってどうする」〉

 三振は打者としてこれ以上ないという敗北だが、積み重ねれば勲章になる。三振が多くても監督が使いたくなる選手だったからだ。2000安打、200勝などが条件の「名球会」の向こうを張って、豊田さんは「千振会」を立ち上げた。しかし、有資格者はなかなか入会してくれない。有望新人に「君もきっと1,000三振できるよ」と言ったら嫌な顔をされたそうだ。

 豊田さんには「三振のポリシー」があった。とにかく振る、振って三振する。振らねば何も起こらないのだから。

===== 引用おわり

 

<出典>

鹿間 孝一、「三振恐れぬフルスイング 振るから何かは起こる」

【書く書く鹿じか】 産経新聞(2021/07/07 )



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