(2043) ミヒャエル・エンデ『モモ』(0) / 100分de名著
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時間泥棒である「灰色の男たち」は、物語の舞台となる町の人たちをうまく説得して時間を節約させ、その時間を時間貯蓄銀行に預けさせる。この男たちの企みにより、町の人たちは次第に心の余裕を失っていく
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「100分de名著」 ミヒャエル・エンデ『モモ』が、8月3日(月)から始まります。Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
講師は、河合俊雄(京都大学教授、臨床心理学者)
<全4回のシリーズ> いずれも8月
【はじめに】 子どもと大人の物語
第1回 3日放送/ 5日再放送
タイトル: モモは心の中にいる!
第2回 10日放送/ 12日再放送
タイトル: 時間を奪う「灰色の男たち」
第3回 17日放送/ 19日再放送
タイトル: 時間とは「いのち」である
第4回 24日放送/ 26日再放送
タイトル: 「受動」から「能動」へ
【はじめに】 子どもと大人の物語
『モモ』は、ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデが1973年に発表したファンタジー作品です。『モモ』はいわゆる児童文学ですが、特に大人向きの本であるように感じます。なぜかというと、この作品には強いメッセージ性があり、構造がクリアだからです。
『モモ』が持つ強いメッセージ性――その象徴が、時間泥棒である「灰色の男たち」という登場人物です。灰色の男たちは、物語の舞台となる町の人たちをうまく説得して時間を節約させ、その時間を時間貯蓄銀行に預けさせます。この男たちの企みにより、町の人たちは次第に心の余裕を失っていく。灰色の男たちとは、いったい何を表しているのでしようか
私(=講師=河合俊雄)は臨床心理学者です。文芸評論家でも作家でもありません。そんな私が『モモ』という作品に関心をもつ理由は大きく三つあります。
(1)
この物語がファンタジー作品だからです。私の行っている心理療法では、夢や箱庭などのイメージの表現、つまりファンタジーを大切にします。
(2)
『モモ』には、ファンタジーの描き出すこころの深層と現実、こころの古い層と、現代のこころのあり方の対立が見られるからです。
(3)
『モモ』には「主体が立ち上がる」というテーマが描かれているからです。物語の主人公モモは身寄りのない、けれどユニークな女の子で、最初はずっと受け身の存在です。しかし、彼女は最後に自分から立ち上がり、灰色の男たちから町の人たちを救います。
<出典>
河合俊雄(2020/8)、ミヒャエル・テンデ『モモ』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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