上野千鶴子さんの著書より。
老後、施設に入らないことにするなら、おおよそ6つの道がある。
①
夫婦で頑張る
②
子と同居する
③
仲間と同居する
④
おひとりさま
⑤
スープの冷めない距離
⑥
その他(兄弟、めい、おい、等々)
今回は、①~③
例えば、独身あるいは、夫を失った高齢の女性が、一人生活と共同生活のバランスを取りながら、一つの家に住むという方式が③。二つのパターンがある。
第一は、元々友達だった数人が、話し合って一軒の家を買ったり、借りたり、あるいはメンバーの一人が家を提供する。
第二は、先ず家があって、いわば公募で人が集まって一緒に住む。もともと知り合いではないが、会って合意して同じ家に住む。いずれも、ほどよいサイズの助け合いが基本になる。悪くはない。こういう老後の過ごし方もあるだろう。ただ、それは別のところで検討していただくとして、ここでは取り扱わない。
夫婦で頑張る(①)も、悪くはない。ただ、元気なうちはよいが、年をとってくると「老老介護」になり、認知症になると「認認介護」になり、だんだん難しくなる。そして二人で同時に死ぬことは稀であり、そうなると「おひとりさま」になる。つまり「夫婦で頑張る」を選ぶなら、「老老介護」「認認介護」「おひとりさま」を覚悟しなければならない。
子と同居する(②)は避けるべきだと、上野千鶴子は言う。
===== 引用はじめ
もし「いっしょに暮さない?」という申し出があっても、うかうかのらないほうがよい … それを「悪魔のささやき」と、前著(*1) では呼びました。それというのも、同居したばっかりに老後のプランが乱されることがあまりに多いからです。
子どもの家に引き取られたら、生活環境が激変するばかりか、要介護になればお荷物。住み慣れた土地を離れての中途同居の高齢者の幸福度は、けっして高くありません。
反対に使いでのある親の家に子どもがのりこんできたら、最後は子どもの側のつごうで自分の家から施設や病院へと送り出されます。
そのくらいなら、最初から独居を選んだほうがまし … わたしはずっとそう思ってきました。
===== 引用おわり
上野千鶴子、「おひとりさまの最期」、朝日新聞出版(2015)、P.10
(*1) 上野千鶴子、「おひとりさまの老後」、法研(2007)・文春文庫(2011)
次回に続く
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