「苦しきは人を隔つる心 私にとっての良寛」
放送 11月6日(日曜) 午前5時00分~ 午前6時00分
NHKEテレ1
【出演】アートディレクター 北川フラム
※ 再放送 11月12日(土曜)
午後1時00分~ 午後2時00分
NHKEテレ1
(1)
苦しきは人を隔つる心
(2)
悟りの境地
(3)
花咲けば
<各論>
(1)
苦しきは人を隔つる心
いかなるが
苦しきものと問ふならば人を隔つる心と答へよ
==== 引用 おわり
「人間は平等だ」などとは、良寛は思っていなかった。
皆、違う。平等とは関係なく、違う
その違いがあること全てを受け容れる
その違いこそ、素晴らしい
違いというものは、往々にして
世間の平均より劣っているところで現れやすい
そういうところで、人が切られていく
人間にくっついている修飾語みたいなもの
肩書や、お金や、らしさを、良寛は嫌っている
これが、良寛の人間観である
(2)
悟りの境地
生涯懶立身 生涯、身を立つるに懶(ものう)し
騰々任天真 騰(とう)々、天真に任(まか)す曩中三升米 曩(のう)中三升の米
炉辺一束薪 炉辺一束の薪
誰問迷悟跡 誰か問わん、迷悟の跡
何知名利塵 何ぞ知らん、名利の塵
夜雨草庵裡 夜雨、草庵の裡(うち)
双脚等閑伸 双脚、等閑に伸ばす
良寛
===== 引用 おわり
生涯、立身出世しようという気にならず
自由自在、あるがままにまかせてきた
袋の中には三升の米
炉端には、一束のたきぎがあるのみ
迷いや悟りの業績など気にかけない
名声や利益などという塵すらない
雨の降る夜中、草庵の中で
両足をのびのび伸ばしている
(3)
花咲けば
===== 引用 はじめ
花咲けば
待つには久し ひさかたの雪ふみわけて わが出でて来し
良寛
===== 引用 おわり
半年雪の中で暮らしていると、
花や人を待つ心、喜び、期待は、並ではない
半年、雪しか見えない。抽象的空間に閉じこもる
そこで考えたことは、抽象絵画に似ている
雪の大変さ、真っ白な雪で覆われた世界
厳正でありながら、透明な世界である
雪の持っている強烈さを、自分の中で意識する
激しさを、取り込もうとする
雪があって、春がある
どうにもならない雪
自分の考えのベースとしている
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