以下の講演会について、3回シリーズで述べる。
素晴らしい、講演だった。
平成28年度 協働のまちづくり講演会
2016/9/3、明石市民会館
講演「地域におけるコミュニティデザイン」
山崎亮 (株式会社 studio-L 代表)
配布資料なし
<(1/3) 形式> 次回は、(2/3) 主内容
山崎氏の講演の、形式としての特徴を探すと、5つ見つかった。
1. 服装で伝えるもの
2. アラカルト
3. まだら
4. 物語を語る
5. 笑いと居眠り
<各論>
1. 服装で伝えるもの
短パンで登場。それは何故か?
「今日は、短パンできました。急遽呼ばれたので」。急遽呼ばれたと言っても、何日も前からチラシが配られている。意図的に短パンを着用した。何故か、緊張させずに、リラックスさせたいからなのか。
服装は軽く、話しぶりも軽やかだったが、内容は重かった。重苦しいという意味ではなく、重厚と言おうか。
もし内容が中途半端だと、見た目に引かれて、話を軽く受け止めてしまう。しかし、あるレベル以上に重いと、軽さと重さのコントラストで、逆に話がより重く感じられる。そのような効果を狙ったのではないか
2. アラカルト
講演スタート時には、講演の概要が決まっていない
「今日は、原稿を全く準備してきていません。何を話すかも決まっていません。あるのは、これだけです」。画面には、20ほどの橙色の丸があるだけ。それをクリックすると、一連の資料が映し出される。
定食ではなくて、アラカルトである。あらかじめ出す料理がセットされているのではなく、おかずがいくつかあって、その場で好きな物を好きな順番に食べていく。
何を食べるか・どういう順で食べるかは食べる人が決め、何を話すか・どういう順番で話すかは話す人が決める。聞き手の反応を正確に感じ取り、様子を見ながら修正する能力を要する。「今日は、女性が多いから、この話が受けそうだ」「あれっ、違うな? 今の話は切り上げて、こちらの話にしよう」
何十の講演を引き受けようと、資料の準備は、個別にはしない。新しい資料を一つずつ追加し、既にある資料は少しずつ改善していく。
3. まだら
主内容と従内容が交互に現れる
話の内容は、大きく分けると二種類になる。私のつけた見出しによれば、
主内容 … 次回に説明
(1)
展覧会「2240歳スタイル~時間を味方にする人生の先輩たち~」
(2)
地域力の外部化
(3)
定住人口、交流人口、活動人口 ~ 縮充 ~
(4)
香川県観音寺市の観音寺商店街
従内容 … 次々回に説明
(1)
ラーニングピラミッド
(2)
ポケモンGO 誕生秘話
(3)
来てほしい人のところに会いに行く
主内容と従内容が交錯するとこに起伏が生まれ、興味をつなぐ。
今日のテーマは「地域におけるコミュニティデザイン」だが、話し手がそれに囚われてこの話ばかりすると、単調になってしまう。
従内容は、どんな主内容とも組み合わせることができる。
4. 物語を語る
説明しているのではない。物語を語っているのだ。
説明しているのではなく、物語を語っている。「○○は、△△である」ではなく、「こんなことが起こった」が中心である。そのために臨場感があり、具体性がある。
結論をポンとわたされるのではなく、話を聞きながら聞き手がなんとなくイメージし、そこに明確な言葉として結論が飛び込んでくるので、それは、聞き手にとって「私の意見」になりやすい。
私が話すと、「○○は、△△である」と先ず言って、次に「例えばこんなことが起こった」という流れになる。しかも「○○は、△△である」が長い。
5. 笑いと居眠り
笑いの多い講演は好評だ。笑わせることができるのに、何故封印するのか?
人気のある講演には、笑いが多い。数分に一度は笑わせ、最後まで続く。しかし、山崎氏は、様子が違う。「笑いが無くていいのかな」とか言いながら、笑いの少ない話をぶつけてくる。笑いのとれる演者にとっては、勇気がいることである。何故?
笑いが多いと、聞き手の満足感が高いが、家に帰って思い出せるのは、笑った部分が中心となる。即ち、笑いは聞き手を引き付けることができるが、必ずしも、伝えたいことが伝わらない。山崎氏は、本当に、伝えたいことを伝えたいのだろう。
普通、笑わらないと、居眠りが始まる。「寝てもいいですよ。私、見ていますから。居眠りが始まったら、笑いの話に切り替えます」。それを再三、言われると、聞き手としては、落ち着いて寝られなくなり困ってしまう(笑)。
「今日の明石市の皆さんは、珍しい。笑いのない話でも、長時間聞いてくれた」。明石市の聞き手が優秀なのだろう。あるいは、どの会場でもそう言っているのか。私には分からない。
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