剣の道でないところでも、役立つ
1.「場のかち(勝ち)」を取れ <吉岡一門との戦い>
2.常に自分が「先」、主導権を握れ
3.相手がこうしようと思う先の先を抑えよ
4.敵を知れ
5.敵の強みを消せ <巌流の小次郎との戦い>
6.敵を崩せ
7.人間の心理をとらえて戦え
8.「勝つ」という目的のために万策を尽くせ
<各論>
剣を交える前に、場の勝ちをえよ
戦いというものは、戦う前からすでに始まっている
2.常に自分が「先」、主導権を握れ
「三つの先(セン)」:「懸(ケン)の先」「待(タイ)の先」「体々(タイダイ)の先」
(1)
「懸(ケン)の先」 自分から先に攻める
自分が懸かろうと持っていても、すぐに懸かるぞ、ということを雰囲気としては全く見せない。そして相手が油断しているところにパッと懸かる
(2)
「待(タイ)の先」 敵から攻めてくる
いかにもこちらは何も準備していないように見せて、相手が「今こそ懸かればいい」と思って打ってきたところをかわして打ち取る
(3)
「体々(タイダイ)の先」 敵と同時に攻め合う
敵が早く懸かってくる時には、自分は静かに強く懸かり、逆に敵が静かに懸かってくる時には、自分は軽快に少し早く懸かる
3.相手がこうしようと思う先の先を抑えよ
「先」:技を出してくる相手との関係における主導権
「先先(センセン)の先」:相手がこうしようと思う先の先を抑える
「枕のおさへ」:技を出そうと思う最初を抑えて技を出させない
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4.敵を知れ
「けいき(景気)を知(シル)」:敵の状態を知る
「敵になる」:わが身を敵に成り代わって考えてみる
(505) 「察する」(3)「察し」を改善する で同じ趣旨のことを書い
「第二に、相手の立場に立って、相手の視線、相手の視点で見つめることである」
5.敵の強みを消せ <巌流の小次郎との戦い>
刀は二尺四寸が「定寸(ジョウスン)」とされていた当時、小次郎は「三尺の白刃」で勝っていた。武蔵は四尺余りの大木刀を作って戦った。これが手に当たれば骨折、頭に当たれば一撃で絶命。真剣で勝負する必要はない
「移らかす」:勝負の最中にわざとゆるりとして、敵もそれにつられてゆるんだところを、強く速く先に打ち込む
「むかつかする」:危ういこと、無理なこと、敵が思いもしないことを仕掛ける
「うろめかす」:打つと見せて突く、突くと見せて入り込むなど、敵に確かな心を持たせない
「おびやかす」:身でも太刀でも声でも、敵の意表を突く
「三つのこゑ」:敵をうごかさん為、打と見せて、かしらより「ゑい」と声をかけ、声の後より太刀を打ち出す
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7.人間の心理をとらえて戦え
「鼠頭牛首」:細心と大胆の両方を併せ持ち、それらを戦いの場面で瞬時に変えよ
「さんかいの替わり」:
二度仕掛けて通じない技は変えよ(三回)
今までは山と仕掛けていたものを全く変えて海と仕掛けよ(山海)
「底を抜く」:相手が完全に負けたと思うところまで、気を抜かずに見届けよ
8.「勝つ」という目的のために万策を尽くせ
剣術の正しい道とは、敵と戦って勝つことである
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