前回(751)の続きであるが、ちょっと別の角度から考察する。
介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)(*1)に入所し、要支援・要介護になると、介護料が発生する。一例を示すと、
要支援Ⅰ : 5,400円/月・人(税込)
要支援Ⅱ及び要介護Ⅰ: 10,800円/月・人(税込)
要介護Ⅱ : 21,600円/月・人(税込)
要介護Ⅲ : 32,400円/月・人(税込)
要介護Ⅳ及びⅤ : 54,000円/月・人(税込)
(*1) 介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能です。(介護サービスは有料老人ホームの職員が提供します。特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームについては介護付と表示することはできません。)
出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会のホームページ
介護度があがれば単価が高くなるのは当然だが、介護度があがるほど儲かる仕組みになっている。介護度は定期的に見直される。老人ホームに入っているうちに、入所者の介護度が下がれば老人ホームは損をし、介護度が上がれば老人ホームは得をする。老人ホームと入居者の利益は相反し、入居者の利益を守りにくい制度になっている。
デイサービスでも同じで、介護度が上がるほど事業者は利益が増え、介護度が下がると利益が減る。だから、デイサービスでは、良いサービスを提供して介護度が下がっては利益として困る。適切なサービスを提供せず、介護度が上がってくれれば、儲けは増える。
別の話を紹介する。
===== 引用 はじめ
…ヘルパーが派遣された場合、介護労働が定型化されざるをえない。という問題も発生しています。ヘルパーは30分とか1時間といった時間の中で、様々な仕事をしなければいけないわけですから、個々の作業がマニュアル化され、時間単位にパッケージ化されるということになります。
===== 引用 おわり
城仁士(2009)、『 do for から do with へ』、ナカニシヤ出版、P.39
また、介護保険を使う時、「介護保険ではここまではできるが、これ以上はできません」という一線が設けられ、もどかしくなることもある。
例えば、訪問入浴介護とった、一つの塊の作業を有料でするのは分かりやすいが、介護度を下げるとか、対象者の特性に合わせた柔軟な対応をするとか、介護保険の境界当たりのケアは、ビジネスベースの契約にそぐわない。このあたりをどうカバーするか
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(a)
家庭内における家事、育児、介護にかかわる再生産労働
生産年齢人口の女性が生産労働によりかかわる必要があり、
その分、家庭内再生産労働力が弱体化する。
(b)
家庭外にあり、(a)を支える再生産労働
比較的新しい分野であり、個人または組織による
組織としては、地域ベースのものと機能ベースのものとがある
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この(b)は、まさに「再生産労働」~直接生産活動に結びつかない、従って直接に報酬を受け取ることのない労働(間接的に報酬を受け取る労働)~であることが望ましい。これからの高齢化社会に大いに必要な部分である。ただ、報酬が伴わないので、生産年齢人口が担当しにくい。
方や、社会の高齢化の進行に伴い、「引退したが元気な人々」、日本老年学会が「準高齢者」と名付けた ~(748)参照~ 新たな集団が発生した。
『この二つをマッチングさせるのが好ましい』というのが、とりあえずの結論である。
ただ、実現に当たっては、金にまつわる意識の変革が必要である。
ここまで読んでくださった方は、そうとう疲れているだろう。
私も疲れた(笑)
しばらく別の話題を取り上げた後、この続きを書く。
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