===== 引用 はじめ
高齢問題の研究者らでつくる日本老年学会などは5日、現在は65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に見直し、前期高齢者の65~74歳は「準高齢者」として社会の支え手としてとらえ直すよう求める提言を発表した。
===== 引用 おわり
“「高齢者」は75歳以上 提言”、産経新聞(2016/1/6)
添付図も、ここから。
そうすると、65~74歳の人(私もその一員である)の名称が、「前期高齢者」から「準高齢者」に変わる。理屈から言うと、「前期高齢者」は高齢者の一分類だから「高齢者だ」が、「準高齢者」は高齢者の前段階だから「高齢者ではない」ということになるが、それは、どうでもよい。
二つの面から考察する、
一つ目は、社会システムの観点から
この提言は「社会の支え手とそうでない人との境界線を65歳から75歳にスライドするもの」であり、「社会保障や雇用制度を変えましょう」と受け止める見方である。具体的には、年金の支給年齢を引き上げましょう、定年延長しましょうということになる。
もしも、このような意図の提言であるならば、これを提言した人たちは「研究者」ではなく、「政治家の手先(という言葉は失礼で、助言者あるいは協力者というべきだろう)」だと思う。提言している割には、「国民の幅広い議論が必要だ」と逃げている(というのも失礼で、謙虚であり、国民の声を尊重しているというべきだろう)。
二つ目は、個人の心情の観点から
当事者(65~74歳の人)の中には、この提言を肯定的に受け取る人と否定的に受け取る人がいるだろう。
現役に復帰したいあるいは現役を少しでも長く続けたい人は肯定的に受け止め、彼らは高齢者という言葉に否定的なイメージをもっていると思われる。
現役に区切りをつけもう一つ別の生き方をしたい人は否定的に受け止め、彼らは高齢者という言葉に肯定的なイメージをもっていると思われる。
平均寿命も健康寿命ものび、その結果、「第一線を退いたが元気な期間」が生じた。その期間を現役色に染め上げようとするか、価値あるものに高めようとするかの違いである。私は、後者の立場から、おおよそ研究者にはこの分野を研究していただきたいと願うものである。
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