アマゾンが興味深い、かつ役立ちそうな「ほしい物リスト」というサイトを立ち上げた。
===== 引用はじめ
Amazon.co.jpでは、被災地からの要請により、ほしい物リストを使って必要な物資をお届けするサポートを行っています。ヤマト運輸株式会社のご協力により、各避難所まで漸次配送いたします。各被災地のリストから、現地で本当に必要としているものを知り、簡単かつ迅速に購入して直接お届けすることができます。皆様のご協力をお願い申し上げます。
===== 引用おわり
先ず、被災地のリストがある。
【被災地】熊本市武蔵中学校避難所
【被災地】熊本市楡木小学校避難所
【被災地】熊本市下益城城南中学校避難所
【被災地】熊本市龍田小学校避難所
【被災地】熊本市龍田中学校避難所
【被災地】熊本市武蔵小学校避難所
【被災地】熊本市北区役所龍田出張所(旧龍田西小)
【被災地】熊本市西原地域コミュニティセンター
そのうちどれかを開くと、その避難所が欲しい物が、アマゾン取り扱い製品リストから選ばれていて、必要な個数が示されている。
個数としては、「希望: 2 所有: 1」といった表示になっている。
多分、最初は「希望: 2 所有: 0」となって、誰かが1個提供すると、所有が1となり、あと1個、他の方に支援していだくのを待っている状態になる。
これは、アイデアとして素晴らしい。
被災者への物資支援でのネックは、以前書いたが、概ね次のようになっていると思う。
(1)
総量として物資がないのではない
(2)
どこで何が不足しているかわからない
(3)
そこに届ける手段がない、困難である
(1)がネックになっているのではなく、(2)と(3)がネックになっている。このネックを見事に解決しているので、素晴らしいシステムだと思った。
しかし、調べてみて、また、よくよく考えると、疑問に感じるところもある。
第一に、私の調べた時点では、のきなみ「欲しい物」はゼロだった。その中で欲しい物が23個のところがあった。中身を見ると、不要不急のものに思えた。
もちろん、辛い思いをしているところに心を明るくするものが欲しいというのはもっともなことであり、それを送りたいという人が送ることも素晴らしいことだと思う。ただ、もっともっと切実で緊急なニーズがたくさんあるのに、カバーできていないのではないかと思った。着実に底上げをしないと、格差が広がっていく。
「欲しい物がゼロ」というのは、元々は、切実な希望があり、善意の人が集中的に寄付者となったため、今ゼロになっているのだろう。だとすると、善いシステムである。これは想像だが、紙おむつであるとか、粉ミルクであるとか、マットレスであるとか、そのようなものは送り手も多く、既に手元に届いているとするなら、素晴らしいことである。
第二に気になったのが、割引がない。つまり、アマゾンは身銭を切っていない。それどころか、これで商品がどんどん売れていく。これは、完全にビジネスである。もちろん、ビジネスであろうが無かろうが、被災者が救われれば、よいことには違いない。
このあたり、比較するのはどうかと思うが、ジャパネットの高田さんと大違いである。
こちらは、「売上全額寄付」である。「利益の寄付」ではない。大損である。身を切っての熱意が伝わってくる。
第三に、これは、私が利用していないので分からないが、送るときにメッセージを送ったり、(匿名でもよいが)贈る人の顔が見えるようなシステムになっているのだろうか。受け取る人にとっては、メッセージをいただくことが力になり、お礼の手紙送ったりできるような仕組みが入っていると嬉しい。被災者に寄り添う姿勢が見えにくい。
うがった見方をすれば、これは「被災者支援プログラム」ではなく「売り上げ増大プログラム」のように見える。疑うことは悲しいことだが、何せ、アマゾンにとって得することはたくさんあるが、損することはない。
システムの動機がどうであれ、被災者が救われればよい。これを書いている最中にも、私が「不要不急だ」といった物の「所有」がどんどん増えている。善意の人が多い。そして、その善意は被災者のためになっている。
私としては、スッキリしないが、ゴチャゴチャ言うべきではないのだろう。被災者に役立つシステムであることに間違いはないと思う。
送る人が納得し、良かれと思って寄付をし、それにより被災者が救われるなら、それはやはり良いことだ。
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