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(K1452) 個人Blog 4月中旬リスト <サイト紹介>
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対極に位置する価値観にうまく折り合いを付ける。第4回では、秩序維持と進取や革新、伝統と経済合理性、ルールと情愛、そして公益と私利といった対極的な価値を、二つながらにうまく扱おうとする渋沢の思考に迫る
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第4回 26日放送/ 28日再放送
タイトル: 対極にあるものを両立させる
【テキストの項目】
(1) 矛盾を超えるために
(2) 「士魂商才」の核は信用
(3) 「論語」の長所と短所
(4) 「算盤」の長所と短所
(5) 『論語』を大胆に読み換える
(6) 男尊女卑を経済合理性でカバー
(7) 「孝行は、親が子にさせるもの」
(8) 弱者をすくう「思いやりの道」
(9) すべては「志」を全うする手段
(10) 陰陽と太極図
(11) 純粋さだけでは世界は回らない
(12) 今こそ求められる「対極を調和させる」力
【展開】
(1) 矛盾を超えるために
近代以降の社会や経済、ビジネスは、その枠組み自体が、根本的な矛盾をはらんでいます。
たとえば現代の企業は、一方では「シェアや売り上げを伸ばせ」「ROE(自己資本利益率)を高めろ」と株主たちから求められたりします。その一方で、環境や社会への貢献、昨今でいえば国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の実現を社会から求められたりもします。またビジネスの世界と一般社会とではモラルが異なる場合があります。
こうしたいわば対極に位置する価値観に、いかにうまく折り合いを付けていくのか―これが渋沢が豊かな社会をつくっていくうえでの基本的な発想でした。「論語」と「算盤」それぞれの長所を巧みに組み合わせ、時には『論語』を大胆に読み換えて、両者の調和を図っていきます。
(2) 「士魂商才」の核は信用
渋沢は、『論語』に象徴される道徳や信用が、ビジネスと社会の継続的な発展に不可欠と考えました。さらに、道徳や信用は経済の基盤である、という点も大切です。経済は、道徳や信用を基礎とし、「儲けたい」という欲望をエンジンにして前進します。経済が発展し国が富むには、両方が不可欠であり、渋沢は道徳と欲望をうまくバランスさせることの必要性を強調しました。
渋沢は「論語と算盤」とほぼ同じ意味で、「士魂商才」という言葉も使っています。文字通り、武士の魂と商人の才覚、といった意味合いです。「論語と算盤」が、社会や経済という大きな枠組みのなかで、道徳と経済的利益のバランスを図ろうとする考え方なのに対して、「士魂商才」は、個人の内面でもその両立を図っていくことの大切さを表しています。
(3) 「論語」の長所と短所
「わたし自身は、宗教やその教義としては、キリスト教の方がよいかもしれないが、人間の守る道としては孔子の教えの方がよいと思っている。これはわたし独自の考え方かもしれないが、孔子の方が高く信頼できる点として、奇蹟が一つもないことがある。」
『論語』を「もっとも欠点の少ない教訓」とは言っても、「欠点がない教訓」とは言いません。
「昔の道徳というものは、進歩していくことによって、尊重すべき価値があまりなくなってしまう場合もあるのではないだろうか。(中略) 結局、道徳の根本に関していうなら、昔の聖人や賢人の説いた道徳というものは、科学の進歩によって物事が変化するようには、おそらく変化しないに違いないと思うのである。」
(4) 「算盤」の長所と短所
「(競争の副産物としての格差は)自然の成り行きだし、人間社会の宿命だから」とはいえ、常に貧しい人と金持ちの関係を円満にし、両者の調和を図ろうと努力することは、もののわかった人間に課せられた絶えざる義務なのである。
ビジネスや経済においては「経済合理性」が重視されます。分かりやすくいえば、より効率的に稼ぐこと、投資に見合ったリターンがあることを良しとする価値観ですが、これが行きすぎると、「社会に必要なものでも儲からないから切り捨て」「ビジネスや経済に貢献できない人は切り捨て」といつた風潮を生みます。結果として格差の拡大が放置されたり、弱者の切り捨てが広がるなら、社会は「取り返しのつかない事態」に直面する、というのが渋沢の考えでした。
以下は、後に書きます。
(5) 『論語』を大胆に読み換える
(6) 男尊女卑を経済合理性でカバー
(7) 「孝行は、親が子にさせるもの」
(8) 弱者をすくう「思いやりの道」
(9) すべては「志」を全うする手段
(10) 陰陽と太極図
(11) 純粋さだけでは世界は回らない
(12) 今こそ求められる「対極を調和させる」力
<出典>
守屋淳(2021/4)、渋沢栄一『論語と算盤』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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