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(K1446) 幼化現象 <仕上期>
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合本主義もその仕組み自体は、資本主義と同じように資本や労働力、市場を必要とします。ただし資本主義の場合、仕組みを動かす原動力は、資本家たちの「もっとお金を儲けたい」という個人的な欲望にほかなりません
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第3回 19日放送/ 21日再放送
タイトル: 「合本主義」というヴィジョン
【テキストの項目】
(1) 資本主義とは何が違うのか
(2) ビジネスは社会を豊かにする手段
(3) 「公益に資する経済活動」とは
(4) 百年後によみがえった渋沢の思想
(5) 封建体制への反発
(6) 武士の精神に学べ
(7) 異文化と接するときの心構え
(8) 立場によって変わる「公益」
(9) 争いの是非
(10) 元祖・社会起業家
(11) 社会事業で公益を追求
(12) 渋沢栄一と岩崎弥太郎
(13) 公益のために「適材適所」を
(14) 無私を貫いた渋沢栄一
【展開】
(1) 資本主義とは何が違うのか
渋沢栄一には、よく「日本資本主義の父」という枕詞が使われます。しかし、実は彼自身は「資本主義」という言葉を一回も使ったことがありません。渋沢は、自らが理想として掲げていた経済システムを、資本主義ではなく「合本主義」と呼んでいました。
合本主義とは、「公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」。「公益」という言葉が入っています。
資本主義の場合、仕組みを動かす原動力は、資本家たちの「もっとお金を儲けたい」「お金持ちになりたい」という個人的な欲望にほかなりません。このため、どんな研究者の定義にも、資本主義の説明に「公益」という言葉は出てきません。
(2) ビジネスは社会を豊かにする手段
「修己安人」(己を修めて人民を安んじる)。
孔子は、自分を磨き、人に尽くして安心して暮らせる豊かな社会をつくることが立派な人間、特に指導者の為すべきことだと考えていました。言葉を換えれば、公益を実現できる指導者になることが、『論語』やそこから派生した儒教における、もっとも基底をなす考え方なのです。明治時代にこれを当てはめるなら、当然、安心して暮らせる豊かな社会を実現するための有力な手段が経済やビジネスの振興に外なりません。渋沢栄一は、まさしく『論語』のもっとも基本的な教えに忠実に従ったのです。
経済やビジネスといったものは、豊かな社会をつくるための手段なのです。
(3) 「公益に資する経済活動」とは
公益に資する企業として、私たちがイメージしやすいのは、インフラ系の企業でしょう。
また、事業の内容が直接公益にかかわるものではなくても、企業が人を雇い、教育し、給与や福利厚生を提供して従業員を豊かにすることも、公益に資するといえます。さらに、多くの人からの投資を受け、事業を成長させ、投資した人にリターンを提供する企業は、「多くの人に利益を配分する」という形で人々を豊かにしたことになります。こうした企業も、公益に資する経済活動を行っているといえるでしょう。
こう考えていくと、「公益に資する企業」とは、それにかかわる人すべてを幸せにし、社会を豊かにできる企業だ、ということが見えてきます。
(4) 百年後によみがえった渋沢の思想
2008年のリーマンショツクを機に、儲けだけを追い求める強欲資本主義への批判が高まり、2019年には、アメリカの主要企業のトップたちが、大株主だけが恩恵を受け続ける株主至上主義からの脱却を宣言したのです。
『どのステークホルダーも不可欠の存在である。私たちは会社、コミュニティー、国家の成功のために、その全員に価値をもたらすことを約束する』
百年前に渋沢が掲げた、公益に資する会社や経済の在り方と同じと言っていいでしょう。今の時代が必然的に求めざるを得ない、こうしたテーマと共振する内容を持っているのが、渋沢栄一の思想なのです。
以下は、後に書きます。
(5) 封建体制への反発
(6) 武士の精神に学べ
(7) 異文化と接するときの心構え
(8) 立場によって変わる「公益」
(9) 争いの是非
(10) 元祖・社会起業家
(11) 社会事業で公益を追求
(12) 渋沢栄一と岩崎弥太郎
(13) 公益のために「適材適所」を
(14) 無私を貫いた渋沢栄一
<出典>
守屋淳(2021/4)、渋沢栄一『論語と算盤』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付図は、「渋沢栄一とステークホルダー資本主義~自社におけるステークホルダー経営思想構築への示唆」より。
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