【 後ろ向き ・ ポール・ヴァレリー 】 「人は後ろ向きに未来に入っていく」。フランスの詩人、ポール・ヴァレリーの有名な一節だ。目の前にある過去の経験を頼りに、ボートをこぐように未来に背を向けながら進む。
===== 引用はじめ
「人は後ろ向きに未来に入っていく」。フランスの詩人、ポール・ヴァレリーの有名な一節だ。目の前にある過去の経験を頼りに、ボートをこぐように未来に背を向けながら進む。仕方のないことだけれど、経験したことのない事態にぶつかると、どうしていいか分からなくなったり、正しい判断を下せなくなったりする
===== 引用おわり
確かに、その通りだ。未来は、未知だ。何が起こるか分からないし、起こったことにどう対処するのが正解か分からない。そこで、過去の似た状況を探して、それを頼りに未来を想像して、対処しようとする。確かに、過去、後ろをみながら漕いでいる。
しかし、過去と全く同じことは起こらず、過去に正しかったことが、未来にも正しいとは限らない。「マニュアル通りすればうまくいく」は、無知であり、傲慢だ。
結局、過去を参照して未来に一歩足を踏み入れ、二歩目からは、過去と違うかもしれないという前提で、様子をみながら、進んでいくしかない。うまくいかなければ、引き返したり、修正したりする。それでも、過去に引き返せないこと、修正できないことも起きてしまう。
そのときには、そのときの「いま」の状態から、あらためて進み始める。そこは過去の経験を生かせることができない領域なので、しばらくは前を見る。このときは、後ろを振り向いて悔やんでいてはいけない。前を向こう。進もうとする先に、杭があるかもしれない。それは、早く発見し、回避しなければならない。
過去の経験を生かして「人は後ろ向きに未来に入っていく」のは、よい事だ。だけれども、いつもこれだけでは、危うい。
<出典>
【タイトル】 湊町365
【新聞】 産経新聞(2021/10/20)
【タイトル】 コロナ禍の選挙を見極める
【URL】 https://www.sankei.com/article/20211020-R4CB4UPKHZLAJCYBQ5ZXPJCQRA/
<添付図>
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