【 読書 ・ 100分de名著 】 本を読む こと、 本を所有する ことが禁じられた 近未来世界 ( ディストピア )。本を持っていると、「ファイアマン」が駆けつけ、本を家ごと焼却してしまう。一人の ファイアマン の 成長と回心 の物語である
「100分de名著」 レイ・ブラッドベリ『華氏451度』が、5月31日(月)から始まります。
注意! 今回は変則で、5月31日(月)から始まります。
Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
講師は、戸田山和久(名古屋大学大学院情報学研究科教授)
<全4回のシリーズ> 第1回は5月、第2~4回は6月
【はじめに】 寓話としての『華氏451度』
第1回 5月31日放送/ 6月2日再放送
タイトル: 本が燃やされるディストピア
第2回 7日放送/ 9日再放送
タイトル: 本の中には何がある?
第3回 14日放送/ 16日再放送
タイトル: 自発的に隷従するひとびと
第4回 21日放送/ 23日再放送
タイトル: 「記憶」と「記録」が人間を支える
【はじめに】 寓話としての『華氏451度』
本を読むこと、本を所有することが禁じられた近未来世界。本を持っていることが当局に知られると、「ファイアマン」が駆けつけ、本を家ごと焼却してしまう。そんな世界で誇りをもつて忠実に職務に励む一人のファイアマン、モンターグが、本を燃やす仕事とそれを必要とする社会のあり方に疑間を抱くようになり、しまいには社会を捨て、本を守り伝える人間として生きていくことを決意する。本作のタイトルになっている華氏451質(摂氏233支)は紙が自然発火する温度です。
この小説はシリアスなSFというより、むしろ寓話だと考えてみたらどうでしょう。私とみなさんが生きている現代社会についてのたとえ話です
執筆後半世紀以上を経たいまになって、あらためてこの小説を読むべき理由は二つ。
ディストピア小説としての『華氏451度』は、意識して「いまと変わらない未来」を描こうとしています。「ディストピア」とは、「ユートピア(理想郷)」の反対語です。
コミュニケーションの本質、歴史と記録、知識人と大衆、都市と自然、権力のしくみなど、多岐にわたる問題がごちゃ混ぜになって描かれています。すぐれた小説は、簡単には答えの出ない問いを読者に投げかけ、自分自身で考えることを促してくれるものでしょう。だからこそ読むべきなのです。
<出典>
戸田山和久(2021/6)、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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