◆ 最新投稿情報
=====
(K0447) 個人Blog 7月中旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/07/k0447-blog.html
=====
第4回 23日放送/25日再放送
タイトル: 「私」とは何か
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55及び 午後 00:00~00:25
【第4回の目次】
(1) ユングか仏教か
(2) 「牧牛図」と「賢者の薔薇園」にみる東西の違い(3) 私の知らないことに満ちた「私」
(4) 「かなしみ」の深みに身を置くということ
(5) 「1000の風」に寄せて
今回の投稿は、(3)について
A)
「私」とは何か
B)
西洋の「私」、日本人にとっての「私」C) 「華厳経」における「自性」
D) 「華厳経」における「縁起」
E) 形成する個性、発見する個性
F) 個人性と個別性
G) 「私の一生がその答の発見の過程である」
【展開】
A) 「私」とは何か
===== 引用はじめ
日々、様々な物語に取り組み、様々なことを感じたり考えたりしている「私」とは何か――普段は特に気にすることもありませんが、「考えれば考えるほどわからない存在」であり、それは「私の知らないことに満ちている」、実は「大変な難物」です。===== 引用おわり
B)
西洋の「私」、日本人にとっての「私」
===== 引用はじめ
西洋で「私」という場合、それは私の「自我」とほぼ同義です。西洋の「私」は、他者とは明確に区別された、固定的なものとして捉えられています。一方、日本人にとっての「私」は、自他が浸透し合った、流動的なものではないかと著者は指摘します。
===== 引用おわり
C)
「華厳経」における「自性」
===== 引用はじめ
「法華経」は、人間を含め、すべてのものに「自性(じしょう)」はないと説いています。自性とは、「それ自体の定まった本質」です。これに従えば、そもそも「私の本質」や「私の固有性」などないということになり、「私とは何か」という問い自体がナンセンスになります。===== 引用おわり
D)
「華厳経」における「縁起」
===== 引用はじめ
しかしながら、現実世界には区別があり、「私」も他の人とは明らかに異なる存在です。では、自性をもたず、何ら区別のないところに、いかにして独自性が生じてくるのか。「法華経」は、「縁起」といわれるように、すべてのもの・人には、他の一切のものが隠れた形で渾然と含まれていると説くのですが、そのうちのある要素が「有力」に、他の要素が「無力」になることで個性が生まれると説いています。===== 引用おわり
E)
形成する個性、発見する個性
===== 引用はじめ
個性は一定・不変ではありません。西洋ではこれを、自らの努力で形成しようとします。今の自分にないものや自分とは対立するものを取り入れ、統合して、豊かなものにしていくのが西洋でいうところの「個性化」です。しかし日本人の場合は、形成するというよりも「発見する」に近いといいます。自分でも気づかないうちに、自分の中の「無力」的要素が働きだし、「自然(じねん)」といわれるように、独自性の自然発生を「驚きつつ味わう」のであって、自分の意思と力で個性をつくり上げるという感じではない、ということです。
===== 引用おわり
F)
個人性と個別性
===== 引用はじめ
このように、西洋と日本とで「個性」の意味するものが異なることを明示するため、著者は西洋の個性を「個人性(individuality)」、仏教的な考えに強い影響を受けた日本のそれを「個別性(eachness)」と呼んで区別しています。英語の「individual」は、これ以上分けることができないという意味で、一つの実体を指すのに対して、「each」は、個々の特徴や出来事であって、必ずしも実体ではないのです。===== 引用おわり
G)
「私の一生がその答の発見の過程である」
===== 引用はじめ
「私とは何かという問いに対する答えは、「私の一生がその答の発見の過程である」というのが適切だろうと結論しています。その意味で、ここで河合隼雄の一生(*)を例に考えてみるとおもしろいです。
===== 引用おわり
(*) 添付「河合隼雄の略歴」参照
例えば、
①
京都大学理学部数学科に入学したが、ロールシャッハ・テストに夢中
②
市立高校の数学教師となったが、生徒の相談にのることで心理学を学ぶ必要を感じた③ アメリカに留学してユング心理学に出会った。スイス・ユング研究所に留学
④ 日本神話に関する資格論文で日本人初のユング派分析家の資格を習得
⑤ 58歳でフルートのレッスンを再開
⑥ 日本箱庭療法学会を設立、日本臨床心理士資格認定協会を設立
⑦ 文化庁長官に就任
どんどん、変わっている。
出典
河合俊雄(2018/7)、河合隼雄スペシャル、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)添付は、この本からの転載
0 件のコメント:
コメントを投稿