画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2020年9月29日火曜日

(2107)  谷崎潤一郎スペシャル(0) / 100分de名著


◆ 最新投稿情報

=====

(K1248)  意味付けして初めて意味が現れる / 「生命はみな平等」(2) <臨死期>

http://kagayakiken.blogspot.com/2020/09/k1248-2.html

=====

 

100de名著」 谷崎潤一郎スペシャルが、105()から始まります。Eテレ。

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50

再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55

 及び        午後 00:00~00:25

講師は、島田雅彦(作家、法政大学教授)

 

 

<全4回のシリーズ>  いずれも10

【はじめに】  欲望の深淵をのぞき込む

 

第1回  5日放送/ 7日再放送

  タイトル: 『痴人の愛』- エロティシズムを凝視する

 

第2回  12日放送/ 14日再放送

  タイトル: 『吉野葛』- 母なるものを探す旅

 

第3回  19日放送/ 21日再放送

  タイトル: 『春琴抄』- 闇が生み出す物語

 

第4回  26日放送/ 28日再放送

  タイトル: 『陰翳礼讃』- 光と影が織りなす美

 

 

【はじめに】  欲望の深淵をのぞき込む

 

 「野蛮で不良」と、ごく良識的な同時代の読者からは眉根を顰められただろう谷崎潤一郎という作家が、これほどまでに長く愛され、日本の文学史上に燦然と名を刻むことのできた大きな理由は、その魅力的な毒性にあるように思います。彼は何を成し遂げたのかを一言でいえば、「色好み」という概念の普遍化、あるいは「変態性」の有効活用ということになるでしょう。

 

 やはり一番の功績は、自分自身の「変態性」を自覚したうえで人間の抱え込む複雑な欲望や無意識の本能、ひいては人に知られるのがはばかられる性的倒錯を、『源氏物語』以来の「色好み」という文脈でおおいに肯定してみせたことにほかなりません一部には、谷崎のおかげで自分の欲望を否定せずにすんで救われたという読者もいたはずです。こうして「変態性」の共犯関係が、谷崎と読者のあいだには結ばれるのです。

 

<出典>

島田雅彦(2020/10)、谷崎潤一郎スペシャル、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



0 件のコメント:

コメントを投稿