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(K1223) (収集癖)まだ使えるからもったいない(1) / 認知症の人の不可解な行動(33) <認知症>
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男は、自分はペストにかかっていると言います。夫人は恐怖のあまり逃げようとしますが、突然彼女にキスをしたくなった男は夫人を追いかけ、無理やりキスをしてしまった。奥さんは、お腹に子供を宿したばかりだった
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第1回 7日放送/ 9日再放送
タイトル: パンデミックにどう向き合うか?
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
【テキストの項目】
(1) 桁外れな執筆意欲を持ったマイノリティ
(2) 縦横無尽にペストを描く
(3) 十七世紀ロンドを襲ったペストの症状
(4) 逃げるべきか、留まるべきか
(5) 「神のご意思」を現代的に読み解く
(6) 抗いがたい好奇心
(7) 怪しげなうわさ、錯乱する感染者
(8) コロナ禍に読むペストの記録文学
【展開】
(1) 桁外れな執筆意欲を持ったマイノリティ
(2) 縦横無尽にペストを描く
(3) 十七世紀ロンドを襲ったペストの症状
(4) 逃げるべきか、留まるべきか
以上は、既に書きました。
(5) 「神のご意思」を現代的に読み解く
迫りくるペストから逃げるか否か。その決断を下す際、語り手はそれが「神のご意志」に沿っているのかどうかを判断の軸にしました。この場面におけるH・Fの長い逡巡は、ひょっとすると現代の読者には理解しづらいかもしれません。
この語り手の逡巡と決意は、本当に何が正しい対策なのかわからないときに、いかに人間は心の安寧を保っていくべきか、という問題に通じていると思います。コロナ禍の現代においても、宗教を信じているか否かにかかわらず、何らかの信念を持たなければ、感染の危険を冒して外出すべきかどうかを決めることなどできないでしょう。
(6) 抗いがたい好奇心
友人の医師ヒース氏から外出を自粛するよう助言されます。にもかかわらず、H・Fは外出自粛の決意をしばしば翻し、なんだかんだと理由をつけては外に出かけます。
そのひとつの例が、増え続ける死体を埋めるために教会墓地に掘られた巨大な穴を見に行く場面です。昼間にその穴の巨大さを見て驚いたH・Fは、「好奇心に導かれて、というより駆り立てられて」、その穴に死体が投げ込まれる夜間に、もう一度その現場を見に行くことにします。
(7) 怪しげなうわさ、錯乱する感染者
ペストの恐怖に駆られたロンドン市民は、デマや迷信に惑わされました。偽医者や怪しい薬売りも横行しました。ロンドン滅亡をうたって人々の不安を煽る本も多数出版されました。
看護人たちのあいだにはモラルの崩壊とも呼ぶべき状況が起こり、患者を窒息させるなど悪辣な手を用いて死期を早めたうわさがありました。高熱に侵された患者はしばしば錯乱状態となり、家を飛び出して通りを走り回ったり、川に飛び込んだり、施しを求めて徘徊したりしました。ペストに感染した者は他人に病気をうつそうとする傾向があるといううわさがありました。
(8) コロナ禍に読むペストの記録文学
未来が見えないという不安は、ある意味では感染症以上に、人間を蝕んでいきます。その結果、自尊心をなくしたり、世の中を呪詛したりする者も出てくるのでしょう。デフォーは、怪しい薬のキャッチコピーをそのまま引用するなどして、そうした事実を包み隠さず書き残しています。現代の読者にとって、耳の痛い警告も数多く含まれています。『ペストの記憶』は、パンデミックを生きるために必要な冷静な視点、正しく恐れる姿勢というものを教えてくれているように思います。
<出典>
武田将明(2020/9)、デフォー『ペストの記憶』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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