画面の説明

このブログは、左側の投稿欄と右側の情報欄とから成り立っています。

2020年4月5日日曜日

(1929)  コッローディ『ピノッキオの冒険』(1-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
=====
(K1070)  認知症と介護・医療拒否(2) <認知症>
http://kagayakiken.blogspot.com/2020/04/k1070-2.html
=====
 
 
☆☆
ピノッキオの主体的意志による選択の結果としてとして生じる過ちが、映画ではきれいに消されている。結果として、ディズニー版『ピノキオ』は、勧善懲悪の物語へと転換されることになったとも言えるだろう
☆☆
 
第1回  6日放送/ 8日再放送
  タイトル: 統一国家とあやつり人形
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25

【テキストの項目】


(1)   イタリア統一と公教育の始まり
(2)  『ピノッキオの冒険』の誕生秘話
(3)   ライバル『クオーレ』との売り上げ比較
(4)   書き出しの魅力
(5)   まるたん棒が意志を持つ不思議
 
(6)   物言うコオロギと衝撃のシーン
(7)   貧しさのなかでの優先順位――教育か、娯楽か
(8)   火喰い親方のくしゃみ
(9)   キツネとネコに騙される
(10)ディズニーとピノッキオ
 
【展開】
(1)   イタリア統一と公教育の始まり
(2)  『ピノッキオの冒険』の誕生秘話
(3)   ライバル『クオーレ』との売り上げ比較
(4)   書き出しの魅力
(5)   まるたん棒が意志を持つ不思議
 以上は、既に書きました。


(6)   物言うコオロギと衝撃のシーン
 ピノッキオは、百年以上この家に住んでいるという、物言うコオロギと出会います。コオロギの言葉に激怒したピノッキオは、コオロギを殺してしまいます。児童文学としては衝撃的です。因みにこのコオロギは、幽霊として、あるいは蘇って、ピノッキオにものの道理を教えます。
 反省して、「ぼくはきちんと学校に行って勉強し、優等生になる、…」と言うピノッキオにジェッペットは感動します。自分の一張羅の上着を売りに行き、外は雪なのにシャツ一枚になりましたが、ピノッキオのためにアルファベットの練習帳を買ってきました。
 
(7)   貧しさのなかでの優先順位――教育か、娯楽か
 ジェッペットが上着を売って得たお金でアルファベット練習帳を手に入れたピノッキオですが、楽しげな音楽の誘惑に負けてしまいます。人形芝居を見たいと、入場料の4ソルドを得るために練習帳を売ってしまいました。
 教育か、娯楽か。その選択を迫られたとき、ピノッキオはあっさりと娯楽を選びました。遊びたいときには遊びたい。子どもの本心をピノッキオは体現しています。
 
(8)   火喰い親方のくしゃみ
 人形遣いの火喰い親方に捕まったピノッキオは、親方が食べる羊肉を焼くための薪の足しにされそうになります。 … この火喰い親方というキャラクターは、新しく到来した社会のなかでの「搾取」を象徴する人物として描かれています。 … 搾取の権化である火喰い親方は、くしゃみをするとある種の正気を取り戻し、人間らしい側面を手に入れます。それは周りを幸せにするのみならず、彼自身にも幸せをもたらすという含意をここに読み取ることができるでしょう。
 くしゃみをし始めた火喰い親方は、ジェッペットの話に感極まり、親父さんにもっていってやるよう、ピノッキオに金貨五枚をわたしました。
 
(9)   キツネとネコに騙される
 道中で出会ったのは、足の悪いキツネと目の見えないネコ。かれらはピノッキオに、5枚の金貨が簡単に二千枚以上に増える場所があるという、…


 誤解を恐れずに言えば、このキツネとネコは、当時における身体障碍者の象徴として描かれているように感じます。 … 切り捨てられた人間たちが、みずから再び社会と関わろうとしたとき、そこにはどんな選択肢があったのか。 … 
 …人形であるピノッキオには人間の大人が抱いているような偏見がないため、そうした人たちともすぐに接点を持ってしまう。そして、騙されてしまう。
 
(10) ディズニーとピノッキオ
 ディズニーの「ピノキオ」はコッローディの原作とはまったく別世界に生きている。みずから困難に立ち向かうこともなければ悩むこともない。外界や他者からもたらされる偶然の働きかけに応じて「冒険」をつづけているだけなのだ。そして、その「単純なハッピーエンド」ゆえに、世界中から今もなお愛されつづけている。
 
<出典>

和田忠彦(2020/4)、コッローディ『ピノッキオの冒険』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

0 件のコメント:

コメントを投稿