◆ 最新投稿情報
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(K0787) 「老後に2000万円必要」問題(3) / 世論・経済界は何を言っているか <高齢期の家庭経済>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/06/k078720003.html
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7月の「100分de名著」 小松左京『小松左京スペシャル』が、7月1日(月)から始まります。Eテレ。
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55及び 午後 00:00~00:25
講師は、宮崎哲也(評論家)
<全4回のシリーズ> いずれも5月
【はじめに】 戦後日本SFとは何だったのか--小松左京を通じて
第1回 1日放送/ 3日再放送
タイトル: 原点は「戦争」にあり--『地には平和を』
第2回 8日放送/ 10日再放送
タイトル: 滅びとアイデンティティ--『日本沈没』
第3回 15日放送/ 17日再放送
タイトル: 深層心理と宇宙をつなぐ--『ゴルディアスの結び目』
第4回 22日放送/ 24日再放送
タイトル: 宇宙にとって知性とは何か--『虚無回廊』
【はじめに】 戦後日本SFとは何だったのか--小松左京を通じて
小松左京は、星新一や筒井康隆と並んで「SF御三家」と呼ばれ、戦後のSF界の基礎を築き、その可能性を大きく押し広げる偉業を成し遂げた人物です。
SFに「サイエンス・フィクション、即ち空想科学小説」という訳語を当てるだけではすみません。「サイエンス」を「合理的に体系化された諸学」、即ち近代以降の自然科学、社会科学、人文(科)学の総体を示すと解釈し、SFとはその総体を主題とする小説であると見做す考え方もあります。今日のSFは「トランスサイエンス」の領域、つまり「サイエンス」が未だ答えを出せない問題域に入っていると言われています。また、SFは哲学や宗教、もっといえば人間の実存の問題を問うこともできます。
『地には平和を』で小松は、自身の戦時や敗戦直後の生々しい体験を、物語を通じて、普遍的、抽象的な問題に変換して見せています。
『日本沈没』は、上下巻合わせて460万部にも及ぶベストセラーです。その構想のスケールの大きさ、道具立てのリアルさ、そして物語の背景にある問題意識の深さは、発刊から45年以上を経た今日でも少しも古色を帯びていません。単なる「近未来小説」とは違って、SFの強みが遺憾なく発揮された作品であったがために、多くの読者を得たといえるでしょう。
宇宙の構造と人間型知性のあり様、そして個の存在の意味を繋ぐ「物語」としてのSF。これは小松SFのメインストリームである、いわば「宇宙構造探索系」の作品に共通する根源的なテーマです。『ゴルディアスの結び目』『虚無回廊』は、この系列にある作品です。
「SFの視点にたてば、あらゆる形式の文学を、――神話、伝承、古典、通俗すべてのものを、相互に等価なものと見なすことができる。このことはやがて<文学の文学性>を、実体概念でなく、機能概念として見る味方に導く」(小松左京『拝啓イワン・エフレーモア様』)
<出典>
宮崎哲也(2019/7)、小松左京『小松左京スペシャル』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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