◆ 最新投稿情報
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(K0769) 本来の寿命は50年(3) 50歳以降の人生の生き方 <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/06/k0769-503-50.html
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第2回 10日放送/ 12日再放送
タイトル: 試練が人にもたらすもの
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
【テキストの項目】
(1) 大都市フランクフルトへ
(2) 社会的環境が変わると呼び方も変わる(3) 愉快な動物騒動
(4) “スイスの少女”という神話的イメージ
(5) クララおばあさま――教育と祈り
(6) 幽霊事件――ホームシックと夢遊病
【展開】
(1) 大都市フランクフルトへ
デーテはおじいさんに「信じられないほど幸運な話が転がり込んできた」と言い、フランクフルトの主人一家のお金持ちの親戚が、足が不自由で病気がちなお嬢さんの遊び相手を探しているので、「すれていない、特別な子」という条件にぴったりなハイジを連れて行くと言います。
おじいさんは「わしは聞きたくない」と冷たく突き放しました。おじいさんを怒らせたデーテに「行かない」というハイジですが、デーテはいい加減な約束をして騙すようにハイジを連れて行ってしまいました。
(2) 社会的環境が変わると呼び方も変わる
フランクフルト 一の金持ちと言われるほど大きなゼーゼマン家のお屋敷での暮らしが始まります。
ハイジ(8歳)を「ハイジ」と呼んでくれるのは最初一人娘のクララ(12歳)だけでしたが、あとでクララのおばあさまもそう呼んでくれました。家政婦のロッテルマイヤーさんは頑なに洗礼名の「アーデルハイト」としか呼ばないし、使用人たちも「お嬢様」と名前では呼んでくれません。クララのお父さんのゼーゼマンさんも「スイスの娘さん」「おちびさん」としか呼びません。ハイジは自分が自分でなくなってしまうような、疎外感を味わいました。
(3) 愉快な動物騒動
お屋敷での珍騒動を描くシュピリの筆致はとてもユーモラスです。使用人たちの描写も面白いし、偉そうで体裁ばかり気にするロッテンマイヤーさんも、子猫を怖がって逃げたり亀に驚いてジャンプしたりと、その様子が面白おかしく誇張されて描かれています。作者自身も楽しんで筆を走らせていることが伝わってきます。
このあとハイジにとってますますつらいものになっていきます。話が重苦しくなりすぎないようにしているのでしょう。
(4) “スイスの少女”という神話的イメージ
十九世紀のドイツでは、スイスを舞台にした素朴な「アルプスの少女」の物語に人気があり、そうした本がたくさん書かれていたのです。
たぶんそんな本をたくさん読んでいたロッテンマイヤーさんは、“高く清らかな山の息吹をもたらす純真な少女”というイメージをもちつつも、現実のスイスの純真な少女であるハイジには、お行儀が悪いと言って叱りつけます。
(5) クララおばあさま――教育と祈り
クララのおばあさまは優しくて温かく、同時に賢くて鋭い洞察力のある人でした。
おばあさまから土産としていただいた本に、ハイジの目は釘付けになります。美しい緑の牧場に動物たちと羊飼いがいる絵を見たとたん、ハイジは涙をあふれさせ、激しく泣き始めました。おばあさまは、ハイジに話しかけます。 … その一週間あまりして、これまでABCも覚えることができなかったハイジが、あっという間に字を読めるようになりました。また、おばあさまはハイジに二度、神様について話します。一回目は「何でも神様に話していんだよ」ということ、そして二回目は「祈りがすぐにかなえられなくても、神様を信じて祈り続けなさい。そうすれば神様はいつか最善のことをしてくれる」ということでした。
(7) 幽霊事件――ホームシックと夢遊病
ゼーゼーマン家で幽霊騒動が持ち上がります。物語はいきなり当時流行のゴシック小説の趣きになります(シュピリは、エンタテイメントの要素を取り入れました)。幽霊の正体がわかりました。ハイジでした。
クララのお医者さんのクラッセン先生はゼーゼマンさんに言いました。「まず最初に、きみが預かっているお嬢さんは夢遊病だよ。(略)第二に、あの子はホームシックで苦しんでいる。 … すぐに助けてやらなくちゃいけない! 夢遊病や深刻な神経衰弱に効く薬は、たった一つしかない。つまり、あの子をただちに、故郷の山の空気の中に戻してあげることだ。」ハイジは故郷の自然から引き離され、都会の閉鎖的な環境のなかで抑圧されて、とうとう心を病んでしまったのです。
<出典>
松永美穂(2019/6)、シュピリ『アルプスの少女ハイジ』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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