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2019年6月1日土曜日

(1621) シュピリ『アルプスの少女ハイジ』(1) / 100分de名著

 
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第1回  3日放送/ 5日再放送

  タイトル: 山の上に住む幸せ
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


【テキストの項目】

(1)  「人格形成小説」としての『ハイジ』
(2)  作者ヨハンナ・ショピリ
(3)  物語の始まりとその背景
(4)  おじいさんの暗い過去――傭兵の歴史
(5)  羊飼いの少年ペーター
(6)  山の自然――そこにあるもので幸福になる
 


【展開】

(1)  「人格形成小説」としての『ハイジ』

 児童文学である『ハイジ』もまた一種の「ビルドゥンスロマン」の形をとっていると言っていいでしょう。 … この作品は、もともと心の優しいハイジという少女が、苦難を経て、教育を受け、礼儀作法を学び、やがて信仰心を得るという、人格形成小説のスタイルになっているのです。
 

(2)  作者ヨハンナ・ショピリ

 作者ヨハンナ・ショピリの父のヨハン・ヤーコプ・ホイサーは、外科から精神まで幅広い患者を引き受ける開業医で、母のマルガレータ・ホイサーは、文学的才能に恵まれた、敬虔なプロテスタントの宗教詩人でした。 … ヨハンナは、当時の女性としてはかなりしっかりした教育を受けました。
 『ハイジの修業時代と遍歴事件』をヨハンナが出版したのは52歳のときでした。この小説は発売されるや、爆発的にヒットし、翌年には続編『ハイジは習ったことを役立てることができる』が出ます。『ハイジ』二部作は、最終的には50以上の言語に翻訳されました。
 

(3)  物語の始まりとその背景

 亡くなった姉の子どもであるハイジを引き取って面倒をみていたデーテは、フランクフルトの屋敷で働き口が見つかりました。しかし、子どもを連れて行くことはできません。そこで山の上の小屋にひとりで暮らしている、「アルムのおじさん」と呼ばれている70歳くらいの老人のところへハイジを連れて行き、預かってもらおうとしています。
 

(4)  おじいさんの暗い過去――傭兵の歴史

 かつて立派な農園の長男として生まれたおじいさんは、若いころに悪い仲間と付き合って、遊びやお酒に財産を使い果たしてしまった。両親は心痛のあまり死んでしまい、行方をくらませた彼は、傭兵としてどうやらナポリで軍隊に入ったらしい。 … 噂によれば、喧嘩で人を殴り殺して、ナポリから逃げてきたのだといいます。
 

(5)  羊飼いの少年ペーター

 父親不在の一人っ子で、貧しくていつもお腹をすかし、人から優しくされたこともなければ、人に優しくしたこともなかった少年が、ハイジという年下の友達に出会ってすぐに仲良くなります。
 11歳になるのにまったく字が読めないし書けない。不器用で知的好奇心のない子どもとして描かれています。そんなペーターがハイジとの交流のなかで、彼なりにその心を揺さぶられていくことになります。
 
 
(6)  山の自然――そこにあるもので幸福になる

 ハイジは両親を亡くした孤児ですが、本人にはそれを苦にする様子はまったくありません。
 おじいさんといても楽しいし、ペーターのおばあさんのことも好きだし、山羊のような動物や山の自然との触れ合いも楽しい。自分に与えられたものに感謝し、ハイジはそこにあるものだけで充足して幸せを感じることができました。
 

<出典>
松永美穂(2019/6)、シュピリ『アルプスの少女ハイジ』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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