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『100分で名著』 7月24日(月) 22:25 ~ 22:50 Eテレ 放映
【流れ】(前回からの続き)
13.
ダーシーと決裂した翌日、エリザベスは彼から長い手紙を受け取る(P.82)
14.
エリザベスがペンバリー屋敷訪問し、ダーシーと再会する(P.85)
15.
ダーシーから妹を紹介された。そして、エリザベスの誤解は氷解した(P.87)
16.
妹のリディアが駆け落ちをした。そして、エリザベスは愛に目覚めた(P.90)
17.
ダーシーがベネット家を訪問した。そして、エリザベスの「偏見」が蘇った(P.91)
18.
エリザベスは、キャサリン・ド・バーク夫人と対決した(P.92)
19.
ダーシーの強い愛。求婚に訪れ、エリザベスはそれを受け入れた(P.94)
刑事もののサスペンスでは、最後に意外な犯人が浮かび上がるというのが定番である。しかし「刑事コロンボ」では、冒頭から犯人は分っている。完全犯罪に見えるものを、いかに崩していくかが、「刑事コロンボ」の面白さだと思う。
ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』は、
A. 女主人公のエリザベスは最後にはダーシーと結婚することは予想される。読者は、どういう結末になるかを楽しむのではなく、どのようにその結末になるかを楽しむ
B. 「そのような結末はありえない」というような事件が次々と起こる。「それを言ったらおしまいだよ」という発言が飛び出し、「おしまい」を予感させる心情が披露される
C. 「おしまいへの流れ」を止め、逆流させるパターンがいくつかある
① エリザベスを陥れようとするたくらみが、エリザベスに有利に働く② エリザベスの捨て台詞か、逆に有利に働く
③ エリザベスの「高慢と偏見」が、逆にダーシーの愛を呼び寄せる
④ 周囲の出来事が、エリザベスやダーシーの恋路に影響する
D. 一種のシンデレラ物語であるが、普通のシンデレラ物語ではない。エリザベスは、美人ではない。エリザベスの性格も褒められたものではない。エリザベスの行動が誠実であるともいえない。エリザベスが一途な愛をもっていたのでもない。それでも、ハッピーエンドになる。エリザベスは普通のシンデレラではない
E. 登場する人物は、「そのあたりにいそうな人物」である。俗っぽい人たちが、俗っぽさ丸出しで登場する
F. 他への非難の言葉が、そのまま自分自身に当てはまるのだが、当人は気づいていない(しかし読者は密かに気づく)。その種のアイロニーが頻繁にでてくる
G. 「人間性とは何か」「人間の弱点は何か」「どのような認知の歪みがあるか」というサブテーマが底流にある
H. ストーリーが急展開するが、「うそくささ」が少ない
I. 大事件は起きない。それでいて、面白い。大事件に頼らず、写実力と構成力で面白さを演出している
「100分DEで名著」8月は、大岡昇平『野火』
~ 人間を人間たらしめるもの
太平洋戦争末期のフィリピン戦線における
一兵士の異常な経験を描いた『野火』は、1952年(昭和27年)に発表されるや大きな反響を呼んだ。
戦争、人間、神、倫理とは何か--。
著者大岡昇平が本作に込めた多彩な主題を作家・島田雅彦が読み解く。
テキストは、7月24日 発売予定
出典:
廣野由美子、ジェイン・オースティン『高慢と偏見』~虚栄心は乗り越えられるか~、「100分DEで名著」、NHKテキスト(2017/7)
添付:第4回人物相関図、「田舎の村の三、四軒が、小説の格好の題材」
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