~ 『100分で名著』 12月12日(月) 22:25 – 22:50 Eテレ 放映 ~
先ず、「構造」と「変換」という言葉の学術的な定義を述べるが、分かりにくい。
「柔らかい素材の上に図形を描いて、その素材を自在に変形しても、図形の要素間の関係性は破いたり、切ったりしないかぎり、変わりません」(P.55)というのがイメージしやすい、文字による説明である。
視覚的に理解しやすいように二つの絵を紹介する。
(1)
「構造」と「変換」
「構造」とは、変換を行っても不変の属性を示す諸要素と、その諸要素間の関係の総体である
「変換を行う」とは、何かの構造に「オペレーター(操作媒体)」が作用したとき、内部から全体の変換がおこり、しかも、変換されたあとの構造が前の構造と同型の関係を持って、全体の構造が変わらずに持続していることである
(2)
デューラーの横顔
人間の横顔の輪郭を、方眼の比率を変えたり、ます目を曲線に変えたりして変形させていくと、顔はだんだん変わっていくが、それでも眼と鼻の関係性は変わらない
(3)
ダーシー・ウェントワース・トムソンの魚
眼とエラとヒレの関係は、方眼の曲げ具合や長さの比率を変えても変わらない。こういう魚たちが実存するのが面白い。
生命体は変幻自在に座標系を変えていき、驚くほど多様なタイプの生物をつくり出すことができ、その中の一部の種類だけが生き残ることができた。
<各論>
(1)
「構造」と「変換」
===== 引用 はじめ P.51 – P.52
… 「構造とは、変換を行っても不変の属性を示す諸要素と、その諸要素間の関係の総体である」 … 「変換を行う」とは、何かの構造に「オペレーター(操作媒体)」が作用したとき、内部から全体の変換がおこり、しかも、変換されたあとの構造が前の構造と同型の関係を持って、全体の構造が変わらずに持続していることをさしています。
===== 引用 おわり
(2)
デューラーの横顔
===== 引用 はじめ P.52
わかりやすい例としてレヴィス=ストロースが使っているのが、十六世紀ドイツの画家デューラーの絵*です。人間の横顔の輪郭を、方眼の比率を変えたり、ます目を曲線に変えたりして変形させていくと、顔はだんだん変わっていきますが、それでも眼と鼻の関係性は変わりません。 … 変換をほどこしても相互の関係が不変の属性を保っている - これが「構造」です。
===== 引用 おわり
* 一つ目の写真
(3)
ダーシー・ウェントワース・トムソンの魚
===== 引用 はじめ P.52 – P.54
もう一つ、二十世紀初頭のイギリスの生物学者ダーシー・ウェントワース・トムソンの、魚の図*も紹介しておきましょう。眼とエラとヒレの関係は、方眼の曲げ具合や長さの比率を変えても変わりません。トムソンの考えで面白いのは(デューラーの絵の横顔もそうですが)、こういう魚たちが実存することです。 … 生命体は変幻自在に座標系を変えていき、驚くほど多様なタイプの生物をつくり出すことができ、その中の一部の種類だけが生き残ることができました。
===== 引用 おわり
* 二つ目の写真
引用:
中沢新一(2016/12)、レヴィス=トロース『野生の思考』、100分de名著、NHKテキスト
写真:デューラーの横顔、トムソンの魚
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