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2020年11月23日月曜日

(2162)  川端康成と日本文学 ~ 初の日本人ノーベル文学賞受賞者 / あの頃日本人は輝いていた(17)

 

◆ 最新投稿情報

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(K1303) (幻覚)家の中にまったく知らない人がいる(1) / 認知症の人の不可解な行動(47) <認知症>

http://kagayakiken.blogspot.com/2020/11/k1303147.html

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☆☆

作品のなかでも特有の表現力を持って描かれた作品は″千羽鶴″であると思う。しかしながら、翻訳されたいままでの作品数が少なすぎるために、現在の状態ではノーベル賞を授与するに相応しいか決めることはできない

☆☆

 

(1)  驚きのノーベル文学賞

(2)  ノーベル賞受賞に際しての川端談話

(3)  翻訳者サイデンステッカーの英訳

(4)  ノーベル文学賞授与に際しての歓迎演説

(5)  享年72歳

 

<展開>

(1)  驚きのノーベル文学賞

「川端康成氏にノーベル賞―文学賞は日本では初めて」(朝日新聞)

「川端康成氏にノーベル文学賞―認められた″抒情の美″」(毎日新聞)

「ノーベル文学賞、川端康成氏に決定―日本人の心の神髄」(読売新聞)

 昭和42(1968)1018日、新聞各紙一面に大きな活字が躍った。

 

(2)  ノーベル賞受賞に際しての川端談話

 鎌倉の自宅に押し寄せた報道関係者に対し、川端は談話を発表した。

 「候補にあがっていることは聞いていましたが、自分の作品は量感に乏しいことを知っているので、まさか決まるとは思っていませんでした。受賞の理由は第一の″おかげ″として日本の伝統というものがあり、それを作品に書いたからだと思います。第二の″おかげ″は各国の翻訳者がよかったためでしようが、日本語で審査してもらったらもっとよかった。……私は変に運がいいんです。私のもののような、西欧の小説に比べるとささやかな作品が認められたわけですから、翻訳してくれた人、そのほかの人々のおかげさまです。

 

(3)  翻訳者サイデンステッカーの英訳

 サイデンステッカーにいわせると、谷崎の文章は極めて翻訳しやすい。しかし川端の作品、特に「雪国」は大変に難しい。例えば、二人の人物が言葉を交わしている時、一方の言葉遣いがほんのわずかに変わっただけで状況が一変するからだ。

 まず冒頭の「国境のトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が自くなった」の部分も主語がない。トンネルを抜けたのは、汽車なのか、私なのか、「夜の底が自くなる」とはどのような情景なのか。サイデンステッカーはこう訳した。

 “The train came out of the long tunnel into the snow country. The earth lay white under the night sky.”

 (列車は長いトンネルを抜けて雪国に出た。大地は夜の空の下に、自く横たわっていた)となる。

 

(4)  ノーベル文学賞授与に際しての歓迎演説

 スウェーデン。アカデミーのエステリング常任理事は、川端康成に対するノーベル文学賞授与に際しての歓迎演説で語った。

 「川端氏は、女性の心理を微細に観察する作家としてとくに賞賛を受けています。氏はこの点で優れた才能を示したのは二つの中間小説『雪国』と『千羽鶴』においてです。川端氏の文章は、日本画を想起させることもあります。即ち、川端氏は繊細な美を熱愛し、また自然の生命や人間の宿命の存在をあらわす悲しみにあふれた象徴的な言葉を賞賛しているからです」

 

(5)  享年72歳

 川端康成は、昭和47(1972)416日夜、伊豆のマンシヨンの仕事部屋で自らの命を絶った。72歳の生涯であつた。この年『文藝春秋』に発表された「夢 幻の如くなり」は「私も出陣の覚悟を新たにしなければならぬ」と結ばれていた。

 

<川端康成>

川端康成(17991972)

 大阪生まれ。東京帝国大学在学中に菊池寛に認められる。新感覚派作家として注目され、戦争を機に日本の古典に沈潜、西洋小説と日本古典をないまぜにした斬新な手法で数々の作品を発表した。日本人初のノーベル文学賞を受賞。日本ペンクラブ会長として国際ペンクラブ東京大会を主催するなど幅広い社会活動もおこなった。代表作は「伊豆の踊子」「雪国」「千羽鶴」など。

 

 

<出典>

池井優、『あの頃日本人は輝いていた』(芙蓉書房出版)

 

写真は、

「川端康成『雪国』ってどこのこと? ざっくりわかる『雪国』のあらすじ」

http://pro.bookoffonline.co.jp/hon-deai/bungaku/20171018-shiranakatta-yukiguni-kawabata-yasunari.html



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