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2019年11月28日木曜日

(1801)  ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(1-1) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
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(K0942)  GPS機能なしで位置情報を得る方法 /高齢者の見守り(3) <見守り>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/11/k0942-gps3.html
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☆☆
100de名著が小説のとき、テキストは、物語の筋の紹介と解説からなっている。解説とは何か。作品を四つのレベル「象徴層⇔歴史層⇔物語層⇔自伝層」において読み解くというのが、興味深い。著者の頭もこうなのか?
☆☆
 

第1回  2日放送/ 4日再放送
  タイトル: 過剰なる家族
 


【テキストの項目】
(1)  「父殺し」のテーマの背景
(2)   秘められた壮大な構想
(3)   小説を織りなす四つの層
(4)   物語の時代背景
(5)  「著者より」に記された宣言
(6)   破天荒な父フョードル・カラマーゾフ
 
(7)   二人の母、三人の兄弟
(8)   場違いな会合
(9)   引用に示唆される父殺し
(10) 影の主人公スメルジャコフの誕生
(11)“金そのもの”に取りつかれた去勢派という存在
(12) 父親は誰か
 



【展開】

(1)  「父殺し」のテーマの背景
 「父殺し」のテーマこそは、ドストエフスキーがひとりの人間として長く抱え込んできた自伝上の秘密と、同時代のロシアがはらんでいた問題とを一つに結ぶ最大の、そしてもっとも切実なテーマでした。
 ドストエフスキーは「二つの傷」を抱えていました。一つは、彼が17歳のとき父親を殺人によって失っているという事実。もう一つは、28歳のときにある反体制的な会合に加わった罪で逮捕され、死刑判決を受けたという経験です。
 
(2)   秘められた壮大な構想
 書かれたなかった第二の小説も含め、二つの小説でもって、自らの二つの「傷」の治癒というテーマを、歴史的なレベルへ押し上げるかたちで実現しようとしていたに違いないのです。その企ては、自らの人生上の問題の解決という側面を持つと同時に、十九世紀のロシア社会が直面した、もろもろの危機と矛盾の解決を目指すものでもありました。
 
(3)   小説を織りなす四つの層
 この小説がはらむ「複雑かつ巨大な構想」を深く理解するために、作品を四つのレベルにおいて読み解く方法を提示する。
 象徴層⇔歴史層⇔物語層⇔自伝層
 私たち一般読者は主としてこの「物語層」を中心に物語を追いかけていきます。「自伝層」は、作者が自分自身の人生から何をどのように切り取り、それをどう意味づけているかを明らかにする部分です。「歴史層」は、作者の歴史認識を示す部分で、小説全体と歴史的事実の関りを示唆する部分と定義することができるでしょう。「象徴層」は、それら三つの層におけるさまざまなドラマを支配する複数の原理の対立とその解決を考える層といえます。
 
(4)   物語の時代背景
 この小説に記される出来事は、1866年と推定します。1861年に農奴解放がありました。それ以降に書かれたドストエフスキーの小説のすべての中心的テーマの主役を金が担い始めます。1866年には、アレクサンドル二世の最初の暗殺未遂事件が起きました。政治テロルがクライマックスを迎える、先駆けとなった事件です。
 
(5)  「著者より」に記された宣言
 『カラマーゾフの兄弟』には「第二の小説」があると宣言されました。「全体として本質的な統一を保ちながら」二つの小説に分化しました。『カラマーゾフの兄弟』は、アレクセイ・カラマーゾフからすると、たんに「青春のひとコマ」にすぎません。
 
(6)   破天荒な父フョードル・カラマーゾフ
 フィヨードルは、極度のアルコール依存、お金への執着、女好きと、「分別のない非常識人」です。しかし、お金に対する欲望、性的な欲望、お酒を飲んで快楽を味わいたいという欲望、それらはすべて、生きているからこそ人間のうちに生まれてくる欲望です。ドストエフスキーはけっして貶めることなく、むしろ肯定的に描いています。
 
 以下は、後ほどかきます。
(7)   二人の母、三人の兄弟
(8)   場違いな会合
(9)   引用に示唆される父殺し
(10) 影の主人公スメルジャコフの誕生
(11)“金そのもの”に取りつかれた去勢派という存在
(12) 父親は誰か
 
<出典>
亀山郁夫(2019/12)、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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