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2019年12月21日土曜日

(1824)  ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(4-2) / 100分de名著

 
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(K0965)  個人Blog 12月中旬リスト <サイト紹介>
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歴史層において、イワンは父フョードルを憎悪し、スメルジャコフに殺害させた。自伝層において、フョードル・ドストエフスキーが父ミハイル・ドストエフスキーを憎悪し、農奴に殺害させた。ドストエフスキーの告白
☆☆
 

第4回  23日放送/ 25日再放送
  タイトル: 父殺しの深層
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
【テキストの項目】

(1)   犯人は誰か
(2)   あなたは見殺しになさった
(3)  「あなたじゃない」が意味すること
(4)   わたし、あの人待ちません
(5)   スメルジャコフの主体性
 
(6)   アリョーシャの「黙過」
(7)   自伝層における父殺し
(8)  「カラマーゾフ万歳!」のダブルミーニング
(9)  「第二の小説」を空想する
 
【展開】
(1)   犯人は誰か
(2)   あなたは見殺しになさった
(3)  「あなたじゃない」が意味すること
(4)   わたし、あの人待ちません
(5)   スメルジャコフの主体性
 以上は、既に書きました。
 
(6)   アリョーシャの「黙過」
 結果としてスメルジャコフは、ドミートリーとイワンの二人の父殺しの願望を実現することになりました。では、アリョーシャはどうなのでしょうか。
 アリョーシャのなかにも「父殺し」の言葉は存在していました。「どうか許してください、あのとき、ぼくはそのことも考えました」
 
(7)   自伝層における父殺し
 自伝層における父殺し犯は、イワン=ドストエフスキーです。作者ドストエフスキーは、この小説で、「私は父を殺した」という告白をしたと考えられます。実際に彼の父を殺したのは農奴たちです。しかしフロイトが「ドストエフスキーと父殺し」で示したとおり、ドストエフスキーはそれを無意識の願望の実現ととらえました。その葛藤が、まさに『カラマーゾフの兄弟』という小説の骨格を形作ったのです。
 ロシア語で農奴のことを、スメルジャコフの語源である「スメルド」と言います。
 
(8)  「カラマーゾフ万歳!」のダブルミーニング
 「エピローグ」の最後に描かれるのは、イリューシャの葬儀のあと。アリョーシャと少年たちは熱い言葉を交わし合います。「カラマーゾフ万歳!」
 「カラマーゾフ万歳!」のなかに「カラコーゾフ万歳!」の響きをしのばせてあります。1866年4月にドミホトリー・カラコーゾフによる皇帝暗殺未遂事件が起こっています。
 
(9)  「第二の小説」を空想する
 著者(亀山郁夫)が予想した「第二の小説」
『カラマーゾフの子どもたち』
  アリョーシャは身重のリーザと結婚。産んだ子(その父はイワンだった)は亡くなる
 「カラマーゾフ派」を開き、ゾシマ長老の教えの復活を図る
  コーリャ・クラソートキンは革命結社を組織
 人望を集めるアリョーシャを結社の長に迎えようとする
  コーリャは皇帝暗殺を仕掛けるが失敗、逮捕される
 死刑判決が下されたが、処刑直前に恩赦が伝えられ、二十年の刑でシベリアへ
 
<出典>
亀山郁夫(2019/12)、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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