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=====(K0139) 「大切な活動」私の場合 <個人の発達>
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9月18日放送/9月20日再放送
『100分で名著』
Eテレ 放映月曜日 午後10:25~10:50
(再)水曜日 午前05:30~05:55、午後00:00~00:25
【構成】
(A) 国民国家の瓦解と全体主義の台頭
以下の順で、進行していった。
(1) 国民国家が誕生した(2) 近代ヨーロッパの主要な国民国家は、互いの境界線を守ることによって均衡を保っていた
(3) 十九世紀に勃興した「民族」的ナショナリズムは次第に人々の「国民」意識を侵食し、国民国家を支えていた階級社会も資本主義経済の進展によって崩れていった
(4) ほころびが目立ち始めた国民国家を、文字通り瓦解させたのが全体主義だった
(5) 「全体主義」のキーワードは、「大衆」「世界観」「運動」そして「人格」である
ここで、(1)~(3)は、第1・2巻(第1・2回)で既出。(5)の「大衆」、「世界観」、「運動」、「人格」は、以下の(B)(C)(D)(E)で説明している。
(B) 「大衆」の誕生
(C) 「世界観」政党の登場
(D) 「自動運動」化した全体主義
(E) 人間から「人格」を奪った強制収容所
(F) 現代にも起こり得る全体主義
【各論】
(A) 国民国家の瓦解と全体主義の台頭
説明済み
(B) 「大衆」の誕生
「市民」社会における政党が特定の利益を代表していたのに対し、「どこにも所属しない」「大衆」は何が自分にとっての利益か分からない。そもそも「大衆」の多くは、政治に対する関心が極めて希薄だった
しかし、平生は政治を他人任せにしている人も、景気が悪化し、社会に不穏な空気が広がると、にわかに政治を語るようになる。… 誰かに何とかしてほしいと切迫した感情を抱くようになると危険である
全体主義運動は、大衆からメンバーをかき集めた。/ そして全体主義を動かしたのは大衆だった
「全体主義は、いかなる理由であれ政治的組織を要求する大衆が存在するところならばどこでも可能だ」(アーレント)
(C) 「世界観」政党の登場
「現実世界」の不安や緊張感に耐えられなくなった大衆は、全体主義が構築した、文字通りトータル(全体的な)な「空想世界」に逃げ込んだ。それは、自分たちが見たいように現実を見させてくれる、ある種のユートピアだった。
… 分かりやすい全体として破綻のない物語を構築するためにナチスが利用したのは、「反ユダヤ主義」と、ユダヤ人による「世界征服陰謀説」だった
(D) 「自動運動」化した全体主義
世界観によって大衆の心をつかみ、組織化することが全体主義者の最初のステップだとすると、その世界観が示すゴールに向けて、大衆が自動的に動くように仕向けるのが次のステップになる
アーレントは、全体主義は「国家」でなく「運動」だと言っている…
通常の国家は、指導者を頂点として、命令系統が明確なピラミッド状(もしくはツリー状)の組織を形成する。 … これに対し、組織が実体として固まっていかないのが「運動」。イメージとしては台風や渦潮に近いと思う(添付図参照)
(E) 人間から「人格」を奪った強制収容所
強制収容所での死は、殺した側が「人を殺した」という実感すら持たないようなものだった。ナチスは「ユダヤ人がいない世界」を作ろうとしたのではなく、「そもそもユダヤ人などいなかった世界」に仕立てようとした。
それが可能だったのは、ナチスがドイツ人からも道徳的人格を奪っていたからだとアーレントは示唆している。
(F) 現代にも起こり得る全体主義
私の感想を以下に述べる
☆ 日本に当てはめてみた。専門家ではないので「感想」のレベルである。
(A) 第二次世界大戦に突入した頃の日本
(1) 「大衆」: いなかったのではないか。少なくとも主導的な役割を果たさなかった
(2) 「世界観」: あるとすれば、「大東亜共栄圏」か。この考えのもとアジアからヨーロッパの植民主義を排除した。戦後のアジア・アフリカの植民力の独立につながったという「正の側面」はある。「反ユダヤ主義」「世界征服陰謀説」とは、同列では語れないだろう
(3) 「運動」: 強力な国家があり「運動」はなかった。軍部の独走を止められなかった
(4) 「人格」: 似たものが皆無とはいえないだろうが、大きな潮流ではなかった
→ ナチスドイツの状況と当時の日本の状況とは違う
(B) 現在の日本
(1) 「大衆」: 選挙無関心層・支持政党なし層が結集したのが、日本新党と民主党だったが、期待と混乱で終わった。小池百合子都知事選挙勝利の要因だと思うが、これが全体主義に向かう懸念は、今のところないと思う
(2) 「世界観」: 安倍首相は「世界観」を掲げているが、「反ユダヤ主義」「世界征服陰謀説」のようなものではない。それが全体主義につながるとは私には思えない(つながると主張する人もいる)
(3) 「運動」: 似た動きはない
(4) 「人格」: 似た動きはない
→ ナチスドイツの状況と現在の日本の状況とは違う
出典:
仲正昌樹、ハンナ・アーレント『全体主義の起原』、「100分DEで名著」、NHKテキスト(2017/9)
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