【 読書 ・ 100分de名著 】5つの詩を紹介します。「大漁」「お乳の川」「にわとり」「石ころ」「積もった雪」。下関の都会を描いた詩もありますが、やはり、みすゞの詩の原風景は、ふるさと仙崎の漁師町と、あたりに広がる農村の情景です。
第1回 10日放送/ 12日再放送
タイトル: 詩心の原風景 - 童謡詩の誕生
放映は、 月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、 水曜日 午前 05:30~05:55
及び 午後 00:00~00:25
5つの詩を紹介します
(1)
大漁
(2)
お乳の川
(3)
にわとり
(4)
石ころ
(5)
積もった雪
【展開】
(1)
大漁
「朝焼小焼だ 大漁だ … 鰯のとむらい するだろう」
全文は例えば、
https://yugemusic.com/big-catch-misuzu/
金子みすゞの詩には、海辺の情景を詠ったものが多数あります。磯の匂いが立ちのぼり、砂浜にうちよせる波の音が聞こえ、潮風が頼をなでる心地がします。
(2) お乳の川
「なくな、仔犬よ、 日がくれる … お乳の川が みえよもの。」
全文は例えば、
https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/20073.html
みすゞの詩には、生き別れた親子の哀れ、母のない孤独をうたったものが何作もあります。母のない仔犬が寂しさにないている。日も暮れ、翳っていく夜空に、やがて乳色の天の川もかかろう……。
(3)
にわとり
「お年をとった、にわとりは … 荒れた畑に立っている」
全文は例えば、
https://blog.goo.ne.jp/rasuga58/e/65880b071d61d50dc4f2b12392165b59
冬枯れのわびしい畑にただ一羽、凛として立つ母鶏の峻厳さ、子を失った孤独を描いて、陰影も、余韻も深いものです。みすゞの詩才が発揮された初期の名作です。
(4)
石ころ
「きのうは子供を ころばせて … 赤い夕日に けろりかん」
全文は例えば、
https://blog.goo.ne.jp/rasuga58/e/4b8827fa35d20295d276e62b3b3117c5
その石は、夕陽に赤々と照らされながら、けろりとしている……。擬人化の巧みさで、石のすまし顔まで目に浮かぶようです。
(5)
積もった雪
「上の雪 さむかろな。 … さみしかろな。 空も地面も見えないで。」
全文は例えば、
https://mahoblog.com/kaneko-misuzu8/
私たちには見えない「下の雪」や「中の雪」にも、詩人は想いを寄せます。こまやかな情感を、まるで独り言をそっとささやくように、私たちに語りかけているのです。
<出典>
松本侑子(2022/1)、金子みすゞ詩集、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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