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2019年4月5日金曜日

(1563)  新元号「令和」(3) / 『令』は『命令』の『令』 ?

 
      最新投稿情報
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(K0704)  寄り添うとは何か / 「寄り添いに求められるもの」(1) <後見と電話相談>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/04/k0704-1.html
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 前回、取り上げた

===== 引用はじめ
 【社民 又市党首「規律や統制の強化にじみ出ている」】社民党の又市党首は記者団に対し「『令』は『命令』の『令』であり、安倍政権が目指す、国民への規律や統制の強化がにじみ出ている感が否めない。
===== 引用おわり
 
 「…感が否めない」というのは、個人的な感想で、本人がそう感じたのは、本当だろう。そう感じている人もいること承知しているが、テレビで見ている限り、一般的な国民の「感」とは乖離しているのではないか。
 

 私も「命令の令」かなと思ったが、首相の説明を聞いて、「命令の令」ではないことを理解した。それを前提にすると、「安倍政権が目指す、国民への規律や統制の強化がにじみ出ている」とは、私は全然感じない。
 
 問題は、「『令』は『命令』の『令』であり」と言い切るところにある。『令』は『命令』の『令』という意味も持つが今回は違う意味で使っていることを、首相がテレビなどを通じて全国民に説明しているし、その根拠を示す典拠もちゃんと示している。何故、あからさまな嘘を公党の責任者が言うのだろうか。それとも、首相の説明を聞いていないのだろうか。聞きもせず、コメントするのも失礼な話だ。
 


 それにしても、確かに誤解しやすい。
 
===== 引用はじめ
 海外メディアは解説に難儀...翻訳にばらつきも
   米紙ウォールストリートジャーナルは、令和を「"rei," which can mean auspicious(縁起が良い) in traditional texts, and "wa" meaning peace(平和).」と、米ブルームバーグ通信は、「 "order(秩序)," and "peace(平和)" or "harmony(調和)"」と訳した。
   英ガーディアン紙は、「TV commentators struggled to offer a direct translation」と英訳に難儀していると伝えた。その上で、「"decree(政令)" and "peace."」としている。
   BBCは「order and harmony」と訳しており、日本のSNSでは「かっこいい」「令和で正解だった」との声が上がっている。
===== 引用おわり
http://news.livedoor.com/article/detail/16249542/
 
 言葉だけを見て訳そうとするから間違える。コンテキスト(文脈)を無視している。安倍首相の説明を理解し、それを前提に訳せば、「令」を”order”と誤訳することは、ありえない。ジャーナリストとして、怠慢だと思う。
 


 とはいえ、文字だけを見ると、むしろそう解釈する方が自然だ。誤解を解くよう、何度も説明するしかないだろう。
 
===== 引用はじめ
 外務省は、平成に代わる新元号「令和」について外国政府に英語で説明する際、「Beautiful Harmony=美しい調和」という趣旨だと伝えるよう在外公館に指示した。今月1日の新元号発表後、「令」を「order=命令、秩序など」と訳す外国メディアがあったのを受けた措置で、外国メディアにも個別に説明している。
===== 引用おわり
https://mainichi.jp/articles/20190403/k00/00m/010/247000c
 


 イギリスでの説明も、丁寧になってきた。
 
===== 引用はじめ
 イギリス・ガーディアン誌
 イギリスのガーディアン誌では、「新元号『令和』の翻訳に苦労した」というTVコメンテーターの発言に触れた上で、『令』と『和』の漢字の解釈について説明。
『令』と『和』は、8世紀に誕生した『万葉集』からの引用であり、それぞれ『縁起のよい(fortunate)』『auspicious(幸運)』そして『平和(peace)』『調和(harmony)』という意味が含まれている。
The Guardian ーより引用(和訳)
イギリス・BBC
 
 続いて、イギリスの公共放送局『BBC』は、『令和』の意味について、このように解説しています。
新元号は『令(Rei)』と『和(Wa)』の2つの文字で構成されている。『令』は『命令(commands)』『秩序(order)』という意味だけでなく、『めでたい(auspicious)』『よい(good)』という意味もある。
===== 引用おわり
https://news.headlines.auone.jp/stories/series/general/12261230?genreid=202&subgenreid=222&articleid=12261230&cpid=10130086
 


 話が変わるが、次のような記事もあった。
 
 「つぼみが花開く」イメージ=「令和」の手話決定
===== 引用はじめ
 社会福祉法人「全国手話研修センター」(京都市右京区)は2日、新元号「令和」を表現する手話を発表した。片手をすぼめて開いていくシンプルな動作で、「未来を目指し、つぼみが花開く」との意味が込められた。(社会福祉法人全国手話研修センター提供)
===== 引用おわり
動画もあり
https://www.jiji.com/jc/movie?p=n001397
 
 たくさん議論したそうだ。そして、音ではなく、その意味・意図するところで手話を決めた。政府見解とは厳密には一致していないが、有識者懇談会メンバーの会議後の感想との齟齬はない。

 コンテキスト(文脈)を踏まえている点が、「『令』は『命令』の『令』」説との違いだ。
 


===== 引用はじめ
 自民党の石破元幹事長は取材に対し「最初は違和感があるが、やがて慣れてくるだろう。われわれは『令』という字の持つ意味をきちんと調べて、国民に納得してもらえるよう説明する努力をしなければいけない。
===== 引用おわり
https://news.goo.ne.jp/article/nhknews/politics/nhknews-10011869121_20190401.html
 
 納得しない一部の国民には、いくら説明する努力をしても、通じないのではないか。あのテレビでの首相の説明に納得しない人は、いくら説明しても納得しないだろう。誤解を解くことはできるが、曲解を解くことはできない。
 
 誤解する自由も曲解する自由も認めるのが民主主義なら、それはそれで良いことになる。でも、そうしていると、民主主義そのものが崩壊してしまうだろう。

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